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新田一郎さんの凄さを語る

伝説のブラスロックバンド「スペクトラム」のリーダーでトランペッターであり、現在は芸能プロモーターとして活躍されている新田一郎さん。

僕は去年の4月にスペクトラムメンバーの演奏を生で見てから、スペクトラムを聴き始めたのですが、聴き進めるうちに新田さんの虜になり、ソロワークやアレンジ提供作品も聴くようになりました。

今では「利き新田一郎(シティポップのプレイリストの中から新田さんのアレンジ曲を当てる)」が出来るようになったり、新田さんをリスペクトするあまりに、LIVEの際に似たようなサングラスをかけたりしています。

新田一郎さんをリスペクトしすぎるSHU-TO.

新田さんの凄さは
・ファルセットの歌声や主張の強いトランペットプレイ、トランペット回し
・「日本の歌舞伎絢爛の要素」と「ブラックミュージック」をかけ合わせてスペクトラムを作る手腕(しかも曲作りや衣装に振り付けまで全部やられてる)
・他のアーティストへのプロデュース力


など多数ありますが、今回は

"新田一郎さんのアレンジャーとしての凄さ"

に的を絞って記事を書こうと思います。
(箇条書きでの凄さはまた「スペクトラムの凄さ」編で書きます〜)


①「メタルのギター!?」って思うくらい複雑すぎるブラスアレンジ

まずこれに対して僕が思うのは「あれどうやって譜面に起こしてるんだ!?」ということです。
関係者筋によると、新田さんは「バリバリの書き譜派のクリエイター」らしいので、恐らくは"あのブラスアレンジを全部譜面に起こしている" or "レコーディング時にその場のノリでやっている"なのですが、どちらにしても凄い。

ソロ曲や中原めいこさん等のアレンジ提供作品などだとより顕著なのですが、新田さんは「タタタタタタタター!」と詰めこむように連符でブラスを入れて来たり、上下を行ったり来たりするような浮遊感のあるブラスの譜面を多く作られます。しかも吹き方の主張がかなり強いのでオケでもかなり目立ちます。

僕がピックアップしたいのは、新田さんが音楽プロデューサーをされていた「エリア88」の楽曲でMIOさん(現MIQ)の「Good-bye,Lonely Blue」なのですが、この曲のシンセアレンジとブラスアレンジを本当に譜面に起こしているとしたら相当だと思います。

②テンポに応じたリズムアレンジ

スペクトラムの「アクト・ショー」や少年隊「あなたに今 Good-by」のブレイク、エリア88「炎のユニコーン」などのテンポの速い曲に見られる特徴としては"畳み掛けるような複雑で速いブラス"や"速弾きのベース"、"パーカションの音を詰め込む"などの手法で"新田一郎アップテンポブラスロックサウンド"を確立しています。
(このあたりの曲では使われるフィルターシンセの音色やギターソロなどにも特徴がありますね。)

逆にスペクトラム「イン・ザ・スペース」やMIOさんの「Mr.Monday Morning」などのテンポがゆっくりの曲では"複雑ながらもゆったりしたブラスアレンジ"や"タイトなドラム"、"序盤は少ししか自己主張をしないがサビになると八分刻みで畳み掛けてくるベースライン"などでAORサウンドに仕上げています。

③無音の使い方が上手い

少年隊「ペパーミント夢物語」、スペクトラム「F・L・Y」、MIOさん「Bad Girlに愛をこめて」などで顕著なのですが、"音を止めて1回曲を止める"という技術の使い方が物凄く巧みで曲の要所要所のアクセントとして機能しています。

他にも「渡り鳥はぐれ鳥」や「F・L・Y」などで見られる特徴ですが、"曲のセクションが終わるごとに鳴る和音が上がり調子"という特徴もあります。

④海外のブラック・ミュージックを吸収してモノにするのが上手い

それこそスペクトラムの「イン・ザ・スペース」などの初期作品は物凄くシカゴやアース・ウィンド・アンド・ファイアーを昇華した作品だと思うのですが、ソロ作品だともっとその傾向が出ていて、ソロアルバム「KOTOBUKI」収録の「おめざめエアロビクス」は完全にエモーションズなどの影響を受けている曲です。

ただここまで自分のものに出来るというのは相当音楽吸収力が凄まじいのだと思います。


まとめ


・新田さんのブラスアレンジ、リズムアレンジは複雑
・アップテンポの勢い系のアレンジや、ゆっくりだがリズミカルなアレンジなど、BPMによってアレンジに特徴がある
・海外のブラックミュージックを取り込むのが巧み

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