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暮らし方の距離感を見つける <地域のつむぎ手の家づくり・番外編/リビルディングセンタージャパン:長野県諏訪市>

【連載について】“地域のつむぎ手の家づくり”って、なに?
家づくりをおこなう住宅会社には、全国一律で同じ住宅を建てる大規模な会社や、各地方でその土地の気候に合った住宅を建てる小規模な会社など、さまざまな種類のつくり手がいます。その中でも、その地域ならではの特色や、そこで暮らすおもしろい人々のことを知り尽くし、家をつくるだけでなく「人々をつなぎ、暮らしごと地域を豊かにする」取り組みもおこなう住宅会社がたくさん存在します。
この連載では、住宅業界のプロ向けメディアである新建ハウジングだからこそ知る「地域のつむぎ手」を担う住宅会社をピックアップ。地域での暮らしづくりの様子をそっと覗かせてもらい、風景写真とともにお届けします。
今回は<番外編>として、古材と古道具のお店の店主に話を聞きました。

今回の<地域のつむぎ手>は・・・

生まれ育った土地と違う場所を“地元”として暮らす、ということ。
どれだけその場所が気に入っていても、理想の生活スタイルを崩してしまっては、なんだかちょっと違う気がする。

暮らし方は人それぞれで、「距離感の取り方」も大切。
たとえば、隣人との距離感。
田舎と都会では全然違うし、地域によっても変わってきます。
都会ではまずインターホンを押してからが当たり前でも、田舎に行けば平気で家に入ってくるところも。

福岡で生まれ、いまは信州で暮らし、古材と古道具のお店を営む東野唯史(あずの・ただふみ)さんに、自分にとっての新しい地元・長野県諏訪市での暮らし方を聞きました。

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「東京に依存しない暮らし方を考えていたところ、仕事で下諏訪町(隣町)と出会いました」
と話すのは、長野県諏訪市にある古材と古道具のお店・リビルディングセンタージャパン(以下リビセン)代表の東野唯史さん。
「自分たちにちょうどいいんですよ、田舎過ぎないところとかも」

東野さんは、1984年に福岡県で生まれました。名古屋の大学で建築とデザインを学び、東京で展示会場のデザインの仕事を経て、空間デザイナーとして独立。2015年に新婚旅行で訪れたポートランドの「リビルディングセンター」に感銘を受け、2016年9月、長野県諏訪市に「リビルディングセンタージャパン」を立ち上げたそうです。

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そんな東野さんは、兵庫、大阪、名古屋、東京と大都市での暮らしを経験した後、5年前に諏訪市へ移住。東野さんは、ショップやゲストハウスなどのリノベーションを手掛ける空間デザイナーとしての顔をあわせもちます。そのため、つねに最先端に触れていたいからこそ、東京へ2時間ほどで行ける諏訪市は“ちょうどいい距離感”なのだそう。

リビセンでは、スクラップ&ビルドが一般的な今の日本に違和感を抱く東野さんの「たとえ古くても、使う価値、愛でる価値があるものは、必要な人の手に届け使われ続けるべきだ」という想いから、地元の住宅の古材や、使わなくなった古道具の買い取り(リビセンではこれを「レスキュー」と呼ぶ)・販売をしています。

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さらに東野さんは、諏訪市に移住者や就業者が増えるようにと、行政や地元の若手たちと積極的に交流。自治体主導のまちづくりにも参加するなど、人と道具、人と人をつないでいるハブ的な存在として、地元の大人たちにとってもなくてはならない「地元民」になっているそうです。これからの東野さんは、どんな地元民になっていくのでしょうか。

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※本記事は、新建ハウジング/新建新聞社が発行した「jimosumu/vol.02」(発行:2020年1月10日)掲載記事を再編したものです。

ライター : 袖山匡之(新建ハウジング・クリエイティブディレクター)
撮影   : 清水隆史(ナノグラフィカ
編集   : 松本めぐみ(新建ハウジング・統括デスク)

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