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北朝鮮衛星が「在日米軍基地を撮影」?

11月21日、予告した期間より早い「フライング」をしでかしながら軍事用の偵察衛星を打ち上げた北朝鮮。その成果だとして、世界各地の米軍基地や都市を宇宙から撮影し続けていると発表しています。
30日には、沖縄にある米軍嘉手納基地の様子を捉えたと主張。

ただ、嘉手納基地を含めて、撮影したとする写真はいずれも公開されていないので、真偽のほどは判断が難しいです。
そのことも含めて、この偵察衛星をめぐる動きを整理してみます。


「基地も、空母も、ホワイトハウスも」

北朝鮮の偵察衛星「万里鏡1号」が打ち上げられてから、これまでに国営メディアで「撮影に成功した」と伝えられた場所や施設の一部を紹介します。

・米軍基地→グアム、ハワイ、韓国中部の平沢(ピョンテク)、嘉手納など
・空母→釜山に停泊中の「カール・ビンソン」やバージニア州での米空母4隻とイギリス空母1隻
・都市など→ソウルはじめ韓国各地、ホワイトハウス、米国防総省(ペンタゴン)、ローマなど

なぜローマが偵察対象に含まれているのやら…

それはともかく、こうした「撮影に成功!」とされる報告が矢継ぎ早に出され、金正恩総書記は大満足だと伝えられています。

ただ、冒頭でも触れたとおり、「万里鏡1号」が撮ったとされる写真は何も公開されていません。本当に撮影したのか、撮影していたならば写真はどれほど鮮明なのか、他国は検証できていません。

戦車と自動車を見分けられない?

一方で、実際に米軍基地などが撮影されていたとしても、軍事的にはさして脅威ではないという見方が大勢です。韓国では「万里鏡1号」の(本当に撮影しているなら)衛星写真の解像度(あるいは「分解能」、spatial resolution)は「3メートル四方」という評価です。つまり、大きさが3メートル四方以下の物は識別できないというわけです。
軍事専門家は「それでは戦車と自動車を見分けることもできない」と指摘しています。

ちなみに、米企業が開発した衛星「スカイサット」の解像度は50センチ、エアバスが開発した「プレアデス・ネオ」は30センチだということです。これらの衛星は商業用です。つまり、北朝鮮が軍事偵察目的だという「万里鏡1号」の解像度が3メートルであるならば、世界の商業用衛星よりだいぶ見劣りします。

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