見出し画像

娘と吃音の話①〜吃音の始まりと3歳児検診〜


娘と吃音

うちの娘には「吃音(きつおん)症状」があります。吃音という言葉を聞いたことがない方もいるかもしれません。簡単に説明すると、例えば「私(わたし)」という言葉を言いたい時に、「わ、わ、わ、わたし」と最初の音を何度も繰り返したり(連発)、「わーたし」と伸ばしたり(伸発)、もしくは音が出せなくなって「・・・ぁ、わたし」(難発)と間があいたりします。


吃音のスタート

吃音は一般的に2歳〜5歳の間に発症するケースが多いそうです。我が子の場合は2歳9ヶ月の頃でした。最初は「あれ?なんか最初の音何回も言ってるな。新しい言葉をたくさん覚えて、お話したいことがいっぱいあるのに、口がついていかないのかな。可愛いな。」なんて思っていました。ところがその後、症状が連発→伸発→難発と変化していき、本人が話したいのに話せないことにイライラして癇癪を起こすようになっていきました。この頃には私もネットや本で調べてきっと我が子は「吃音」なんだろうと思っていました。でもだからと言ってどうすれば良いのか、次の一歩に踏み出せずにいました。

吃音の原因

まあどんなことでもそうですが、人って事象に関する原因を知りたくなりますよね。「吃音」について知った私は我が子が吃音になった理由と原因、そしてその治療法?を必死になって調べました。最初に結論を言うと未だ吃音の原因ははっきりしていません。体質的なものと発達的なもの、そして心理的なものが組み合わさって発症しているのではないかとも言われています。でもはっきりしていないからこそ情報は錯綜していて、「自然に治る」という情報がある一方で、「早めの介入が将来良い状態に持っていくための鍵」という情報もありました。うーーーん。私はこのまましばらく見守るべきなのか、それとも積極的に何か行動を起こすべきなのか。悩む日々が続きました。夫はそこまで気にしておらず、「まあそのうち治るっしょ。」みたいな感じでした。それが余計に私をイライラさせたんですが笑。お前もちょっとは調べろよと。ママ友に相談しても「え?全然気づかなかった。本当に?全然大丈夫じゃない?気にしすぎだよー。」と言われたりしました。そもそも娘は家族の前でだけおしゃべりで、知らない人の前ではあまり話さないタイプだったので、吃音症状を聞く機会があるのが私くらいだったというのも大きいと思います。

余談ですが、実は娘が保育園の中で声を出すのに2年かかりました(!)。これは担任の先生に後々言われて知ったのですが、最初の2年はジャスチャーやうなづき、首振りだけで生活していたそうです。でも私が迎えにいってひとたび門を出ると、マシンガントークで今日あったことを話してくれていたので、まさか保育園で言葉を発していないなんて私は気づきませんでした。おそらく「場面緘黙(ばめんかんもく)」だったんではないかと思われます。吃音と場面緘黙の両方を持ち合わせているお子さんもよくいると「ことばの教室」の先生から聞きました。

3歳児健診で言われたこと

結局モヤモヤしながら何も行動にうつせないまま、娘の3歳児健診を迎えました。そこで吃音について相談して、今後の対応を考えようと思っていました。健診で言われたことは

  • 下の子が生まれて、保育園入園もあって、いろいろストレスがあったのかもしれないね。

  • お母さんも忙しいかもしれないけど、たまにはこの子を抱きしめてゆっくりお話を聞いてあげてね。

  • 今はまだそんなに気にしなくてもいいんじゃないかな。また気になることがあれば、市の相談窓口に相談してね。

と言うことでした。健診の担当だった保健師?さんに悪気がないのはわかるんです。実際とても温かくて優しい方だったので。ただ、この言葉はその後かなり私を苦しめました。いや、私が勝手に苦しんじゃっただけかもしれませんが。「娘が吃音になったのは私のせいかも。そして一人で気にしちゃってるけど、私が気にしすぎなのかも。」と日々罪悪感を感じるようになっていきました。ちなみに親の愛情不足で吃音になるわけではありません。子どもが吃音が出ても気にせず楽しく話し続けられるようにゆっくりお話を聞いてあげる時間は大切だと思いますが、抱きしめても吃音は治りません。もし今まさにお子さんの吃音のことで悩んでいる方がいたら、「菊池良和」先生の本をお勧めします。九州大学病院で吃音外来を担当されている、ご自身も吃音症状をお持ちの先生です。吃音についてとてもわかりやすい情報を発信されていて、私も日々勉強させてもらっています。正しい情報にすぐにアクセスすることで、私のように自分のことを責めてしまうお母さんが一人でも減りますように。

まとめ

以上が娘の吃音症状の始まりについてです。子どもの吃音症状が気になるのは自然なことで、何かしてあげた方が良いのかな?と悩むのも当たり前です。小学校入学までに自然治癒する子もいる一方で、症状が続く子もいます。最近では年齢に合わせた様々な治療法や対処法が示されているので、お子さんやご家庭の環境に合った方法を取るのが一番かなと思います。その後我が子は「ことばの教室(市の無料サービス)」→「ことばの教室(病院内保険適用)」→「言語聴覚士さんによる療育(受給者証保有者のみが使用可能な児童発達支援教室)」のサービスを受けることとなりました。今はとても良い環境で支援を受けられているなと感じるのですが、実はここに至るまでには本当に苦労しました。「吃音」についての考え方って個人差が大きくて。それは児童の発達支援を仕事としている人(いわゆる子どものプロ)にも言えることです。ことばの教室がどんなところなのか、我が子はどんな道を辿って今の療育を受けることになったのか、また別の回でお話できればと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?