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勝手に10選〜ムシャクシャした時に聴く曲編(前編)

(前記)

人がムシャクシャする時は、何か嫌なことがあったり、何かに行き詰まったり、何かに納得がいかなかったり、不安や悲しみとはまた別の感情であり、本人にとっても勿論であるが、相対する人にまでその影響が負の方向で及び得る、実に厄介な感情である。

そんなムシャクシャな気分を発散させる方法の1つとして、やはり音楽は外せない。

今回は、そんなムシャクシャする時に爆音で聴きたい曲を前編、後編に分けて勝手に10選する。

・黒く塗りつぶせ

1977年に矢沢永吉さんのシングルとして発表された曲だ。

筆者はまだバブバブしていた頃で、勿論後追いの知識と感想でしかないが、キャロルが解散したって、世の中はGSは完全に衰退し、フォークが衰退期に入り、というタイミングの時期だろうか。

矢沢永吉さんには、時代の流れなど全く関係ない。何が流行っていようが、他のミュージシャンが様々な解釈でカテゴライズされるなか、ブレない真のロックンローラーなのだ。

今聴いてもメチャクチャにカッコいい。
とても50年前の邦楽とは思えない。

曲の構成もシンプルにで歌詞も実にストレートだ。

歌詞は、色んな気に入らない事は頭の中で黒く塗って、先に進めば良い、と筆者は解釈する。

疾走感と重厚感を兼ね備えた曲に、矢沢永吉さんの力強く、抑揚、緩急をつけたボーカルが冴え渡る、実に気持ちの良いロックンロールなのだ。



・ON MY BEAT


1982年にBOOWYのファーストアルバムに収録された曲だ。

非常に短い、実に楽曲の魅力をグッと詰め込んだ様なパンクロックである。

ビートが効いて勢い、力強さ、疾走感が揃った非常に気持ちが良いロックだか、また歌詞が実に素晴らしい。

歌詞が自身にとって実に的を得て、少年時代から胸に突き刺さってままであり、人生における時代時代において、その時の刺さり方を変えながら、ずっと自身を奮い立たせてくれる素晴らしい歌詞なのだ。

もはや、この歌詞は筆者にとって座右の銘ともなっている。

アルバムバージョンもシンプルなガレージロック的で魅力があるが、BOOWYが成熟したライブ版、ソロになってからの氷室京介さんのバージョンを是非お勧めしたい。



・男の勲章


1982年に嶋大輔さんのシングルとして発表された曲だ。

元々、嶋大輔さんは横浜銀蝿の弟分としてデビューに至り、この曲は横浜銀蝿のギタリストであるJohnnyさんによる作詞作曲である。

つっぱることが男のたった一つの勲章だって
この胸に信じて生きてきた

この曲の出だし、サビとなり曲の主軸となる名フレーズだ。

素直=不良、という名言がある。
人生という道を歩み、色々な事を経験する上で、大人だったり、学校の先生であったり、人生の先輩だったりに、色々な事を教わり、校則、社則、法律、まあ実に色々なルールがある中で生きて行く。

それらに対して心が素直だから、疑問を抱く事もある訳だ。
そして、筋が通ってなかったり、自身が納得出来ない事に反抗、反発するのが不良なのだ。

この曲における"ツッパり"とは、納得のいかない事、理不尽な事に惑わされない自身の中にブレない軸を持つ事のメタファーであり、男の勲章である。

実に爽快感と疾走感に溢れ、ノスタルジックな雰囲気も香りながら終始ポジティブで、聴く者の背中を押してくれる、素晴らしい名曲なのだ。



・お前が嫌いだ


1986年にチェッカーズのシングル"OH!! POPSTAR"のカップリングとして発表された曲だ。

作詞は藤井郁弥(フミヤ)さん、作曲は武内享さんによる。

実に気持ちの良いパンキッシュなロックだ。

この時期のチェッカーズは、自分達でのオリジナルの楽曲で勝負したいメンバーと、アイドルの既定路線を継続させたい事務所と対立し、喧嘩状態であった。

この曲はデモの段階では普通のおとなしめなロックであったが、藤井郁弥(フミヤ)さんによる大傑作の歌詞によって、また前記のフラストレーションも爆発して過激なパンキッシュなアレンジとなったのだ。

この"お前が嫌いだ"という題名、フレーズは唯一無二の魅力があり、郁弥(フミヤ)さんの作詞家としてのセンスが凝縮している。

お前が嫌いだ、の勢い溢れる大合唱で曲は始まり、疾走感の中にブレイクが実に気持ちの良いタイミングで入り、見事な緩急をつけている。

歌詞は女性に翻弄されている男性の胸中を、イカしたフレーズを多用し散文的である。
このイカしたフレーズを散文的にする事により、聴く者それぞれに都合の良い捉え方をし、"お前"の対象を変える事により、フラストレーションの発散に繋がる。

実に気持ちの良い、気持ちがスッキリするイカしたロックンロールなのだ。



・終わらない歌

1987年にブルーハーツにより発表されたファーストアルバム"THE BLUE HEARTS"に収録された曲だ。

作詞作曲は真島昌利さんによる。

実に軽快で疾走感に溢れる、心が踊らされる様なイカしたロックンロールだ。

歌詞であるが、

終わらない歌を歌おう クソッタレの世界のため
終わらない歌を歌おう 全てのクズ共のために
終わらない歌を歌おう 僕や君や彼等のため
終わらない歌を歌おう 明日には笑えるように

が歌詞の大半を占める。

クソッタレの世界をなんとかするため、クズ扱いされている者に対して、僕や君や皆んなが明日には笑える様に、終わらない歌を歌おう、と筆者は解釈する。

その他のパートは、もうだめだと思った事が何度でもあったり、現実における何かの瞬間は死ぬほど怖いから逃げ出したりする事が何度もあったり、ひとりぼっちで泣いた夜、と自身における弱さを吐露している。

それらの弱さを吐露する事にて、聴き手に、特に落ち込んでいたり、参ってしまっている聴き手の方へ歌詞が降りてきてくれるのだ。
俺だってそうなんだよ、と。

そして、サビが非常に実に気持ち良く人々の心に見事に刺さってくれるのだ。

歌詞は聴き手の捉え方次第であるが、実に頭の中のむしゃくしゃを吹っ飛ばしてくれるイカしたロックンロールなのだ。

(後記)

後半へ続く。

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