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勝手に10選〜タイトルに"花"が入ったイカした曲編(前編)〜



(前記)

ふと思いついた企画である。
日本の音楽の中で花なり、花の名前がタイトル入った曲だ。
そんな曲は星の数ほどあるのでは、と自身のプレイリストと睨めっこしてみたところ、意外にも数が少ない事を知る事となった。

自身は花を部屋に飾る、人に贈るなどは少ない部類に入る。
しかし、人生のあらゆる時において、その場所には色んな意味を持つ花は存在する。

誕生、入学、卒業、就職、退職、恋愛、結婚、そして人生の終わりの儀式にも、他にも様々なシーンで花と共存しており、常に何らかの形で花はどこかに、その時々において種類、香りを変え抽象的に心の中にも存在している様だ。

そこで今回は、タイトルの中に花、もしくは花の名前が入ったイカした曲を前編、後編に分けて勝手に10選する。



・サボテンの花

1975年にチューリップのシングルとして発表された曲だ。

作詞作曲は財津和夫さんによる。

時を超え、1993年にドラマ"ひとつ屋根の下"の主題歌に抜擢され財津和夫さんによるセルフカバーも発売されてリバイバルヒットを果たしている。

時代はフォーク全盛期であり、チューリップもフォークっぽいイメージがあるかあるかも知れないが、財津和夫さんの音楽における元々のルーツはビートルズにあり、曲を聴いてもロックしている、と筆者は考える。

実に美しく煌びやかで切ないミドルテンポのバラードだ。

歌詞の内容は、寒い冬に恋人が居なくなってしまった主人公が後悔の念に駆られていたが、自身も思い出が詰まった部屋を去る事を決めると、その恋人が育てていたサボテンに花が咲き、愛は終わったと確信し、もうすぐ春が来るから、前向きに進もうと心のシフトをチェンジする、というか素敵なストーリーである。

財津和夫さんが御実家にあるサボテンに花が咲いた事に感動し、御自身の失恋体験をベースにこの素晴らしい曲ができたのだ。


・赤いスイートピー

1982年に松田聖子さんのシングルとして発表された曲だ。

実に華やかだがシンプルかつソリッドに優しく暖かい演奏と秀悦したメロディラインが共存する名バラードだ。

作詞は松本隆さんで、作曲は呉田軽穂さんであるが、はてさて呉田軽穂さんとは。

呉田軽穂さんとは松任谷由美なのだ。
元々、松本隆さんが松任谷由美さんにオファーをしたら、名前による先入観を避ける為に松任谷由美さんが本名を伏せる条件で、この楽曲が生まれたのだ。

歌詞は、付き合い始めの女性だろうか、相手に対する、もどかしさや少しの不安も持ちながら、しかし心の中には素敵なスイートピーが、相手を愛する気持ちと共に咲いた、という実にストレートで美しい内容だ。

曲全体に実に緩急がつき、特にサビのパートで素晴らしいメロディラインで華やかに盛り上がりを見せるところで前向きな歌詞が融合する、実に気持ちのいい大名バラードである。

実に面白い余談があり、スイートピーという花に赤色は当時無かったのである。
しかし、この名曲によって、赤いスイートピーが品種改良により実在する事になったのだ。


・情熱の薔薇

1990年にブルーハーツによって発表された曲だ。

ブルーハーツの真骨頂、まさに代表作の1つとして君臨している名曲だ。
疾走感と爽快さを兼ね備えた、実に気持ちの良いブルーハーツのロックンロールなのだ。

魅力の1つとして、曲の構成が実に面白い。
まず、前奏だが、ギターのストローク、ベース、ドラムの本編よりスローなミドルテンポなロックから始まり、助走の様な役割りを果たしている。

そしてシンバルのカウントから怒涛のパンクがヒロトさんのボーカルと共に始まる。
Aメロ、Bメロ、サビから構成されているが、Aメロ、Bメロの後に間奏が入り、AメロからBメロが再び入り、その後サビになる。

サビが1回しか無いのだ。
その分、それまでのパートが弓矢を引く様に、そして弓矢が一気に放たれる様にサビが際立っているのだ。

歌詞は要約すると、様々な疑問だったり、些細な幸せ、不幸せはあろうとも、胸にある情熱の薔薇を各々が大切にしよう、と筆者は解釈するが、ブルーハーツの歌詞は散文的なイカしたフレーズが多く、聴く者のハートへの刺さり方は自由なのだ。


・flower


1996年にラルク アン シエルのシングルとして発表された曲だ。

美しい琴を連想させるイントロから、アコースティックギターのリフが実に気持ち良く、寄り添う様なハーモニカが、実に素晴らしいスパイスとなる前奏に入る。

切ない片想いをしている主人公をメタファーとして花として表現しており、別の形で、花を敷き詰めてあげたいというパートがあり、実に花がキーとなりストレートに胸を打つ歌詞である。

曲の構成は、Aメロ、Bメロ、サビからなる王道でシンプルだ。

曲全体に言える事であるが、アコースティックギターの入り方が、弾きっぱなしではなく自由奔放で緩急自在であり、サビ以外はスパイス的な弾き方をする事で実にアコースティックギターの存在感が増し、この曲に煌びやかさや、美しさを与えている。

従って、Aメロは実にタイトかつシンプルで、Bメロではエレキギターのカッティングも入り重厚感を増し、緩急がついてサビが非常に煌びやかさを増し、そこにhydeさんの甘く美しいボーカルが高低自在に花びらが舞い踊る様に絡みつき、実に華やかさに切なさをブレンドした様な素晴らしいサビとなっている。

片想いをしている主人公の心中を見事に花をメタファーとした華やかで美しくも切ない名曲なのだ。



・ダンデライオン


1998年にブランキー・ジェット・シティのシングルとして発表された曲だ。

実に美しく、疾走感も兼ね備え、気持ちが良く、気分が高揚するミドルテンポのロックだ。

曲の始まりは浅井健一さんのギターとボーカルによるAメロの弾き語りから始まり、途中からベースが入り、前奏へ。

実に美しい前奏、ギターリフだ。
疾走感に美しくギターリフが冴えて、とても気持ちが良い。

曲の構成が実に素晴らしい。
Aメロとサビ、間奏を挟んでAメロとサビで、ここまではやや抽象的に主人公の失恋について描かれているが、2回目のサビの後にサビ2とも言えるパートが力強く出現し、それまでノスタルジックだった歌詞も実にポジティブな内容となる。

このネガティブな雰囲気からポジティブな雰囲気になる変換が実に見事で気持ちが良い。
サビ2の間に再びサビが入るが前向きになっている。

ラストは弦楽も入り、弾き語りから始まり、曲を通して聴き終わると、実に気持ちの良く、心の中に爽快さが突き刺さる名曲なのだ。

(後記)

後編に続く。

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