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勝手に10選〜イカす90年代 男性邦楽編(前編)〜

(前記)
時代が昭和から平成へ移行し、自身も多感な時代を過ごした90年代。
1900年代最後の10年間、世紀末における日本で、どんなイカしたロックを生み出されていたのか。
今回はそんな90年における日本のイカしたロックを勝手に10選する。


・WEEK END
1990年に発表されたX(現X JAPAN)のシングルだ。
元々は1989年に発表されたアルバム"BLUE BLOOD"に収録されていた曲のリメイクであり、まさに90年代の始まりと共に発表されたシングルなのだ。

幼少時からの幼馴染であったYOSHIKIさんとTOSHIさんが、小学6年生の時からバンド活動を始め、幾多のメンバーチェンジを重ね、高校2年生の時にXが産声をあげる。

1985年にインディーズにおいてデビューをするも、その後幾多のメンバーチェンジを繰り返しながら活動し、1986年にTAIJIさん、1988年にPATAさんとHIDEさんが加入し、デビュー時のメンバーが揃った。

1989年にアルバム"BLUE BLOOD"にてメジャーデビューを果たし、この曲が収録されて、1990年にアレンジを加え新たにシングルとして発表された。

アルペジオに乗せたギターのカッティングから曲が始まるがこのギターの音色が非常にクールなのだ。
歪みすぎず、重厚感のある実にイカした音色だ。

構成はAメロ、Bメロ、Cメロ、サビ、間奏から成る。
AとBメロは勢いをそのままに、Cメロになるとテンポは変わらず、ガラリと世界観が変わる。
ここがこの曲における、実に素晴らしい緩急と品格を与えているのだ。
更に間奏後の最後のCメロはテンポも落とし、オーケストラが冴え渡る素晴らしいクラシカルなパートとなっている。このパートから再びCメロを繰り返すが、その移行するパートでピアノも加わり盛り上がりを取り戻し、絶妙な橋渡しとなっている。

間奏のギターは2本のギターが素晴らしいハーモニー、絡みを発揮させ、サビはCメロの緩急も効いて抜群の疾走感と重厚感を持ち、実に非常に気持ちが良いのだ。

実にパートを綿密に計算し適材適所に配置されている曲だ。結果、この様な素晴らしいロックが生まれるのだ

思う事はX JAPANの曲は随所に静寂を上手く取り入れて、間奏、パート間、ブレイクなどをピタリと際立たせているバンドである。
自由奔放に演奏している様な雰囲気だが、合わせる場所で実に精密にに合わせてくる事により緊張感のあるX JAPANならではのグルーヴとなるのだ。

・Easy Come, Easy Go!
1990年にB’zのシングルとして発表された曲で後のアルバム"RISKY"にも収録された。

スタジオミュージシャンやバックバンドで活動していた松本孝弘さんがバンド結成を目論んでいたが、1988年5月にとあるボーカリストの音楽教室からデモテープを手にする。

これが稲葉浩志さんのボーカルだったのだ。
それを聴いた松本さんは稲葉さんをボーカルにすると決定して、その2日後に10分ほどセッションをして(途中でアンプが壊れた為)、即座にB'zが誕生した。

1988年にシングル"だからその手を離して"とアルバム"B'z"でデビューを飾る。
実に2人が出会ってから4ヶ月でデビューをするという離れ技をやってのけた。

稲葉さんは、未だに松本さんから「一緒にバンドをやろう」などと言われた事が無いそうだ。

この曲は、そんなB'zの6枚目のシングルだ。
B'zの音楽性は初期は打ち込みやシンセを多用したテクノロックの色合いが強いが、時が経つにつれソリッドなハードロックに移行するところが面白い。

題名を訳すと、得やすい物事は失いやすい、となる。

実にイカしたミドルテンポのロックである。
曲の構成は前奏、Aメロ、Bメロ、サビ、間奏といった流れになるが、前奏で登場するギターのリフが実に素晴らしく、サビのメロディラインとほぼリンクしているので、このメロディラインの素晴らしさが、この曲の魅力なのだ。

失恋している女性を慰める曲であるが、結果的に聴く者全ての気持ちを上げる曲になっているのは、流石な歌詞であり、オケとの融合も実に見事な曲なのだ。


・恋のマジックポーション
1991年に発表されたすかんちによるシングルだ。

すかんちは1982年にローリー寺西さん(現:ROLLY)を中心に大阪で結成された。

インドディーズでアルバムも発表しながら地道に活動を継続し1988年にソニー主催のオーディションに合格する。

1990年に"恋のTKO"にてメジャーデビューを果たす。

ルックスはグラムロックを踏襲し、そのサウンドは、レッド・ツェッペリンやクィーンの香りがするロックバンドで、曲や見た目や振る舞いのキャッチーさの反面、ローリーさんのギターのテクニック、楽曲の完成度の高さは、当時のバンドブームの中でも秀逸していたのだ。

曲であるが歪んだギターとクィーンの香りがするイントロから、Aメロに突入する。
非常に気持ちが良いビートの効いたロックだ 

構成はAメロとサビから主になるが、サビは広がりを一気に増し、切なさをスパイスに華やかなオケと、イカしたメロディラインとなり、実にAメロとサビの緩急が心地良い。

女性を必ず惹きつける魔法の薬を持っている主人公が肝心の女性に薬が効かず、もう魔法の薬が無くなってしまい、どうすれば良いのか、といウィットにとんだ歌詞が面白い。

曲全体を通してローリーさんのギターの音色が実に曲に重厚感と疾走感を与えている。

ローリーさんは実にイカしたギタリストであり、イカしたシンガーソングライターで、日本における唯一無二のロッくアーティストなのだ。


・HELLO
1995年に発表された福山雅治さんのシングルだ。

福山雅治さんは中学生1年生の頃からギターを弾き始め、バンド活動を行っていた。
高校を卒業し、一旦は就職するも、ミュージシャンの夢が諦めきれず、単身上京し、アルバイトで生活を送るなかアミューズのオーディションに合格する。

1988年に俳優としてデビュー、1990年にシングル"追憶の雨の中"でミュージシャンとしてデビューを飾るもミュージシャンとしてのブレイクには至らず、ブレイクはお預けとなった。

1993年に出演したドラマ"ひとつ屋根の下"が大ヒットし、更にシングル"MELODY"、アルバム"Calling"がヒットして本格的にブレイクする。

以降はミュージシャンとしてミリオンセラーを連発し、大河ドラマの主演、など、ミュージシャンとして俳優、フォトグラファー、として大活躍を継続しているアーティストだ。

特筆すべき点は、福山雅治さんはシンガーソングライターである事だ。
しっかり自身で全ての楽曲の作詞作曲を行い、音楽と向き合い、ギターを弾いて歌っているのだ。
俳優としても、ミュージシャン、シンガーソングライターとしても超一流なのだ。

非常にキャッチーで爽快感を持ちながら軽やかなアコースティックロックだ。
構成はAメロ、Bメロ、サビとシンプルだ。
Aメロは言葉を詰め込みすぎず、Bメロで哀愁、切なさをスパイスにした緩急を作り、実に勢いのある名サビへと突き上がる。

歌詞も、日常という垣根を超えて好きな女性を想うラブソングで実にストレートかつ前向きな歌詞が曲と見事にマッチした大名曲なのだ。 

・ミサイルマン
1995年に↑THE HIGH-LOWS↓のデビューシングルとして発表された曲だ。

日本のロック史に欠かせない、燦々と輝き続けるバンドTHE BLUE HEARTSが、1995年に解散した。

そしてTHE BLUE HEARTSの主要メンバーである、ボーカルの甲本ヒロトさんと、ギターのマーシーこと真島昌利さんが間髪をいれずに結成したのが↑THE HIGH-LOWS↓である。

アルバム"↑THE HIGH-LOWS↓"と、本曲により1995年にデビューをかざる。

この曲の最大の魅力はマーシーさんのギターと、ヒロトさんによるリフだ。

曲は実に爽快なドラムとギターリフから始まり、前奏になるが、ここからのマーシーさんのギターとヒロトさんのハーモニカによるリフが、実に実にイカしているのだ。

曲は疾走感に溢れ、実に気持ちのあがるロックだ。
構成もAメロ、Bメロ、サビと実にシンプルで随所に登場するこのリフが、最高にカッコいい名ロックなのだ。

歌詞はミサイルマン、それだけだ。

(後記)
後半に続きます。

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