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雨に好かれる。

 うちの旦那は雨に好かれているらしい。
 確かによく雨に降られている気がするし、旦那本人もよくそう言っている。
 旦那曰く、「自分が外に出るとその時間だけ雨が降るのだ」そうだ。

 うちの地元の夏は特に天気の変化が激しく、一日中晴れの予報であってもスコールになることがある。
 スコールになるとそれはもう土砂降りで、その瞬間だけ嵐が来たかのようだ。
 けれど、最長で30分かそこら。その後はまたカラッと晴れることが多い。

 旦那は、そのスコールの瞬間によく遭遇するのだという。
 外出先で、目的地へ移動する際、外に出た瞬間から雨に降られ、目的地に着いた瞬間に雨が止むのだという。
 その移動だけで旦那はずぶ濡れになることも多々あるそうだが、雨が降っていたことすら気づかれないこともあるため、ずぶ濡れになっている理由をわかってもらえず、ものすごく不思議がられることもあるそうだ。

 最初は、旦那の話をあまり信じられず、冗談かと思っていた。そういうのはタイミングの問題だとも思っていた。
 しかし、そうであったとしても、雨に対しての旦那の持つタイミングの悪さは絶妙だ。
 個人的には神レベルだと思う。とても面白いし、何より話のネタになる。
 私自身は、旦那と一緒に出かけるとその現場に遭遇することも多いため、かなり面白がっている。

 本当に雨を操ることができるのならこれはものすごい特殊能力になるが、もちろんそんなことはない。
 旦那曰く、雨が降ればいいのにと思ってる時ほど雨には恵まれないのだそうだ。
 さらに、旦那は、決して雨が好きというわけでもない。
 雨が降ると頭痛をはじめ、体調が著しく悪くなるという旦那は、できれば雨とのタイミングなど合わせたくないと切実に願っているらしい。
 それでも、やっぱり、旦那が外に出ると雨に降られることが多い。
 それはまるで、雨が旦那を好いて、待ち伏せをしているかのようだ。

 そんな旦那と雨の関係は傍で見ている限り楽しい。
 しかし、その雨に降られる性質は、少しずつ私にもうつっているのかもしれない。
 性質がうつるなどということはまずないし、私の場合は本当にただの意識の問題ではあると思うけれど。
 ただ、旦那のように、雨に好かれることが本格的なものになるようなら、対策は講じておかなければいけないだろう。
 現時点で思いつく対策は、外出の際には必ず晴雨兼用の折りたたみ傘を持参することくらいだろうか。
 備えあれば患いなし。持参することを忘れることが多い私だから、その辺も考えておきたい。

 ここ近日で台風が発生し、地元へ近づいているようだが、今日は雨が降るのだろうか。
 旦那にはエールを送りつつ、一日の中での天気の変化を感じながら、今日も一日を楽しく過ごそうと思う。

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