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「今の子は男らしくない」という話を聞きながらレディースセットを食す

インドカレー屋には独特の雰囲気がある。
味も美味しいし、異国情緒漂う暗めの店が好きだ。


今日はお気に入りのカレー屋まで足を伸ばし、「レディースセット」を注文した。
セットの内容はカレー、ナン/ライス、サラダ、チキンティッカ、飲み物。

インド料理屋では定番の組み合わせに、さらにチキンが付いてくるのが嬉しい。


しかしこのメニューのどの辺りがレディースなんだろう。そもそもレディースセットとはどういうもののことを指すのか。

「レディースセット 食事」と検索して斜め読みするに、どうやら量が少ないとか野菜が多いものを「レディースセット」と呼ぶようだ。

しかしこのメニューは至って普通の内容である。


メニューに併記されている英字表記を読むと「Rani Set」とある。見慣れない単語だ。

ラーニー (rani) はインドの女王・王妃・王女などを意味し、ヴァーヴ (vav) は階段井戸をさす名称の一つであって、意味を訳して王妃の階段井戸と表記されることもある。

Wikipediaの「ラーニー・キ・ヴァーヴ」の項目より

つまり元々は高貴な女性を意味する名前で、日本語に訳す時「レディース」が適当とされたのだろう。


レディースセットよりも角が立つものと言えば「レディースデー」がある。
これは男性と女性の違いに注目した名前のようだ。

女性と男性を比べた場合、女性のほうが総じて価格変化への対応が大きいと思われる。それはデパートのバーゲンや、スーパーの安売りセールに女性のほうが敏感なことを見てもよくわかるだろう。だから、映画館の館主たちは無意識のうちに価格弾力性のグラフを頭の中に描き、メンズデーではなくてレディースデーを設定しているのだ。

https://president.jp/articles/-/13323

この理屈だとお得が好きな方のためにお得な日を設ければいいが、必ずしも「レディース」と付ける必要はないわけだ。

TOHOシネマズが「レディースデイ」の名称を「TOHOウェンズデイ」に変えた事例はそういうことなのだろう。

今の時代なおさらニュアンスが重視されるので、このような変更は今後も見られるのではないだろうか。


この店は狭く、店内ではインド音楽に負けず周りの話し声がよく聞こえる。
向かいのテーブルではママ友と思しきグループが子育ての話をしているようだ。

あまり気にしていなかったが、強い言葉が飛んできて嫌でも耳に入るようになった。


「息子が脱毛やスキンケアに執心」らしく、「時代よねぇ」だそうだ。
「そんなことに気を使うなんて馬鹿らしい」「今の子は穏やかで男らしさがない」とまで言われてしまってはどうしようもない。

時代は徐々に移り変わるが、今は過渡期で色々な意見があるのだなと改めて思った。


誰であっても身なりに気を使うことはいいことじゃないか。そう思いながら「レディースセット」を食すのであった。


(追記)
見落としていたが、「レディースセット」にはヨーグルトデザートが付いており、そこが違いらしい。

1000円未満のリーズナブルな値段でチキンとデザートがついてくるのは嬉しい。
そうなると、お得なセットなので数を減らしたいという気持ちも少しはあるのかもしれない。

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