2018年5月17日(木)

一息に吸い込む。胸に負荷がかかる。我慢してしばらく呼吸を止める。

いち、に、さん、し、ご。

息を吐く。胸が軽くなり、頭の中に引っかかっていた何かが煙と一緒に吐き出される。眩暈とともにやってくる何とも言えない清々しさと安穏。

煙草である。

そろそろ、やめて半年になる。通院したり薬を使ったりすることもなく、思ったよりはずっと楽に禁煙できている。

たまに「吸いたいな」と思うことはあるが、それは喫煙への欲求というより、喫煙への追憶といった意味合いの方が強い感じがする。

娘が大きくなる頃には世の中に煙草などほとんど無くなっていて、煙草のあった時代のことを懐かしんで話してやる時が来るかもしれない。

たかが煙草のことではあるが、時代の幕というものは実に呆気なく、静々と降りてゆくのだなと実感し、少し寂しくなるのだった。

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