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【通勤電車の詩】定期券を落とすとたいへん

改札を抜けようとしたら、定期券がない。
ポケットというポケットを探り、カバンの中も見たがどこにもない。
「落としたのかもしれない」
焦燥感とともに、朝の慌ただしい人の流れに逆行しながら、ぼくは元来た道を引き返す。
ひたすら地面を見ながら。

どこにも落ちていない。
定期券は6ヶ月分で買っていて、期日までにはまだまだ日数がある。
このまま見つからなかったら、たいへんなことになる。

通勤者を家から送ってきた自動車が一時停車するスペースがある。
ぼくも20分ほど前にそこで家内が運転する車から降りた。
そこに歩車道を分ける高さ1m、直径15cmほどの丸いポールがいくつも立っている。
その中の一本のポールの上に見慣れた定期入れが置いてある。
誰かが拾って置いてくれていたようだ。

ぼくは湧き上がる安堵感とともに胸を撫で下ろした。
どなたかわからないけど、お陰で助かりました。

どうでもいいことだけど、その日は会社に遅刻。


通勤電車に揺られながらふと思ったこと・・・。


▼「通勤電車の詩」はこんなふうに生まれました▼


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