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うちの子になったね


我が家には、一昨年の夏に保護し、今2回目の冬を過ごしているオスの猫がいます。
名前は「さん」

保護した当初のさん

彼は保護したときにもう2歳弱、それ以前は野良ネコとして大人になり、厳しい社会をちゃんと生き抜いてきました。
ですが私たちを信頼し「ボキ、ここんちの子になるでし~」と、自ら我が家に転がり込んだ志願兵です。

我が家にはその時すでに8歳になろうとする先住猫「まる女王」がおられました。気が強く怒りんぼ、他者の存在を一切認めぬ暴君であられます。

覗くでにゃい!

そんな絶対君主との兼ね合いや、野良としての用心深さもあり、なかなか借りてきた猫感が取れないなぁ、と、ずっと感じていました。

でも、ふと気づく以前とは違うことがいくつもあります。
些細なことだけれど、「お、こいつもうちの子になったなあ」と実感できることを書いておこうと思います。


人間を利用することを覚えました

暖房シーズン、リビングのドアを閉めるため、猫たちは少し遠回りして、猫専用経路でリビングを出入りしなければなりません。
しかし2年目の冬、私と一緒の時、さんは自分だけ遠回りをせずに人間用のドアの前で、私を待って一緒に入るという技を身に付けました。
下の図で言うと、青い経路ですね。

たいそう分かりづらい我が家の間取り図 猫経路付き

我が家は暖房シーズン以外は、ほぼ家中の扉という扉は開け放たれ、家全部がほとんどワンフロア状態です。
でも暖房を入れると、リビングから廊下に出る引き戸の扉は閉め切られます。
猫の通行を確保するために、これも暖房シーズンだけ閉めるリビングと和室の仕切りを少しだけ開け、和室から廊下に出るドアも少しだけ開けておきます。
これでリビングの温かい空気を閉じ込めながら猫の通路も確保できます

我が家はリビングの扉を出ると、廊下、そしてすぐ2階に上がる階段があります。
猫たちは、私が2階で布団や洗濯物を干したりする間、大きな掃き出し口から入ってくるお日様を浴びたり、ベランダで遊んだりしています。

2階で飼い主の家事に付き合う猫たち


そして私が下に降りると、一緒に階段を下り、暖かいリビングに駆け込むのですが、ずっと我が家に暮らすまる女王はリビングに入るとき、ちょっと遠回りになる和室経由を選びません。私がリビングの扉を開けるのを待ち、私と一緒に部屋に駆け込みます。

昨シーズンの冬、さんはそんなまる女王を見ていながら、律義にちょっと寒い和室を通り抜け、遠回りしてリビングに入ってきていました。
私は「さんも一緒に近道すればいいのに」と思っていましたが、慣れないためか、遠慮なのか、さんは律義に遠回りしていました。

けれども今年の冬、さんは私と一緒に階段を降り、リビングの扉の前でちょっと私を待ち、私が引き戸を開けると一緒にリビングに入ってきます。

猫の経路 again

おお、その技を身に付けたのね。うんうん、うちの構造が分かってきたね。

うちの子になったことを一番感じた出来事です。


上手に遊べるようになりました

紐の先に結構リアルなネズミが付いているおもちゃ。
まる女王はこのネズミのおもちゃで上手に遊びます。
一度キャッチしても、私の様子(動力源)を見ながらわざと手放し、次の動きを待ちます。
遊びだと理解し、私が動かしていることを分かったうえでお互い阿吽の呼吸が成立します。

これがしゅき♡

以前のさんは、これを一回キャッチするとものすごく真剣な顔でずっと放さず、ガシッと前足でホールドし、猫キックをし、ひもを喰いちぎり、ネズミを強いあごでガジガジし、新品が10分で使い物にならなくなっていました。

捉えた獲物は離さにゃいんでし


以来我が家はネズミのおもちゃを買うのをやめ、太いゴム紐の先に鳥の羽などが付いた、頑丈でひもがめったに切れないおもちゃに切り替えました。
ひもが切れることはなくなりましたが、さんは相変わらず一度キャッチすると真剣勝負、ずっと興奮したままおもちゃをやっつけていました。

しかし、いつのころからか気が付くと、さんも一度キャッチしたおもちゃを、私の様子を見ながらリリースし、私が次におもちゃを動かす機会を待つようになりました。
おもちゃの動力源と、遊びだということ、遊んでいる相手、つまり人間との呼吸を図ることを覚えたのです。

そして私がおもちゃを動かすのをやめると、にゃおにゃおとやかましく鳴いて催促します。

家の中で余裕ができ、人とのかかわりを分かってきたのだなぁと思います。

太いゴムひものおもちゃ
とは言っても、ひもの先のおもちゃはとうに壊れ、我が家手作りのぴろぴろが付けられた
ニンゲンの足でも遊べるようになったでし


その他

まる女王と仲良くけんかできるようになりました。
以前はちょっとでもまるが不機嫌になると、すぐごろんとお腹を見せていましたが、最近は恐れずに自分も猫パンチを繰り出しています。
真剣なケンカではなく遊びの範疇です。しかしそれ以上仲良しになれないのは、ひとえにに天上天下唯我独尊であらせられるまる女王のコミュニケーションスキルの不足によるものと思われます。

にゃんですって、ああ?!

まる女王の餌をそれほど狙わなくなりました。
さんがあまりにも女王陛下のゴハンも欲しがりまるが落ち着かなかったので、2匹の餌は別の部屋に置いています。
今でも油断して、気まぐれ女王の食べ残したゴハンをしまい忘れるとさんに食べられてしまうこともありますが、以前のように自分のゴハンを終えた瞬間まる女王の餌に突進突撃、「誰がなんと言おうとこの餌もボキのでし」と猛ダッシュすることはなくなりました。
そこにしばらく出しっぱなしでもあまり興味を示しません。遠慮して遠巻きに様子を見、私が気づいて片付ける時に自分の頭も無理やり戸棚に突っこむようなこともなくなりました。自分のゴハンと女王陛下のゴハンとを区別できるようになりました。

Before 突撃となりのにゃんゴハン


After こっちがボキのでした


元が野良ネコだったせいか、食べられるときにはとにかく食べる、食欲を満たしたい!!!!!というその気合のみで出来ている猫という感じでしたが、だいぶそういった飢餓感が消えました。
毎晩ごみ箱をあさることもなくなり、ごみ箱の管理が本当に楽になりました。


さんが我が家の一員になって1年半、私たち人間は最初からかわいい家族のつもりでしたが、本人(猫)の様子はまさに「借りてきた猫」でした。けれど気づけばいつの間にかさんは、人や先住猫とも上手に関係性を築き、マイペースで我が家でくつろいでいます。

ここ半年ほど気づいた、思わず目を細めてしまうような新入り猫、さんの変化を書いてみました。



わらわには関係のにゃいことよの by女王



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