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自作HDRI <第4世代>

自作HDRI 第4世代

メインで使うカメラの買い換えに伴いHDRIの撮影機材を刷新しました。前回使用のRICOH GRから自身初のミラーレス機となるSIGMA sd Quattroに変更です。初のレンズ交換可能な機種なので魚眼レンズも購入。魚眼レンズはこれまでの失敗からセンサー長辺で180度のイメージサークルがあるものでなるべく安価な物を探しました。色々と探した結果、MC Peleng 8mm F3.5というベラルーシ製の中古レンズを1万円程度で手に入れました。もともとは旧ソビエト製のレンズということでM42マウントですがマウントアダプターを介して取り付けました。

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ステッチ前の1方向の画像を確認するとAPS-Cのセンサー長辺を最大限生かした180度のイメージサークルになっています。レンズ設計が古いため太陽のような強い光源が入る場合はフレアやゴーストが強めにでてしまいますが値段を考えれば妥当な性能ですね。

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カメラのオートブラケット機能は5EVステップまで設定ができるようになり第3世代の3EVステップより広い範囲の輝度情報記録できるようになりました。またレンズの画角が広がり撮影方向も6方向から4方向に減っています。撮影方向と撮影時間を減らすことで時間的な変化、方向的なずれが少なくなり画質やステッチンング精度が向上しています。解像度や画質は向上しましたがダイナミックレンジには課題が残りました。sd Quattroのシャッタースピードは4000/1が上限でMC Peleng 8mmの絞りはf16が最大です。下の画像のようにオートブラケット撮影の明るい側の上2枚がほぼ同じような露出になってしまっており、4000/1-f16では晴天の上の方の輝度が捉えられていないといえます。

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3Dプリンタによるパノラマ雲台の作成

第3世代に続きパノラマ雲台を3Dプリンタで出力しました。基本的には第3世代で作成したものを踏襲したリング式三脚座+回転機構の組み合わせタイプです。3Dプリンタは最初のものが故障したため2代目となっています。サンコーレアモノショップの3Dグレコという機種でデルタ型の3Dプリンタですね。通常よく見る3Dプリンタとは構造や作動が違いとても興味深いです。

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カメラとレンズが重くなったため造形素材は炭素繊維配合のPLAにしています。その中でも高い造形精度と強度をもったプロトパスタ社製カーボンファイバーPLAという製品を使用しまています。またカメラを回転させた場合に発生する視差が発生しない位置を回転軸に設定。ステッチングした際に上空が切れないように斜め上方に5度の角度をつけています。これによりPTGuiに画像を読み込んだ際にほぼオート検出でステッチングできるようになりました。

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太陽輝度の加算処理

これまでは3DCGアプリケーションにHDRI読み込みSunライトを追加するなどして不足する太陽の輝度を補っていました。今回は作成したHDRIに太陽の輝度を加算処理して3DCGアプリケーション内でライトを追加しなくても良いようにしてみます。まずPTGuiから書き出したHDRIを画像処理アプリに読み込みます。画像処理には32bitイメージの処理が可能なAffinityPhotoを使っています。太陽の部分に露出+8.5を加えました。

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下の画像の左側が太陽輝度を加算する前で右側が加算済みのレンダリングイメージです。輝度加算なしの場合は間接光のみのようなライティングになっています。輝度加算済みでは直接光があり魚が球体におとすハードシャドウも表現されるようになっていますね。

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HDRIスペック/技術向上点

・カメラのセンサーとレンズの組み合わせ最適化による高解像度の向上

・カメラのAEブラケット性能向上でダイナミックレンジを拡張(3EV→5EVステップ)

・ポスト処理による太陽輝度の加算、画像単体でライティング素材として使用が可能になる

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HDRIスペック:11370x5685px 5EVステップ合成

機材:カメラ / SIGMA sd Quattro

   レンズ / MC Peleng 8mm F3.5



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