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肥料とその使用促進の社会的背景

今回は農業に使われている肥料とそれらが使われてきた社会的背景についてです。

農業において必要不可欠と思っている方が大多数なのが「肥料」だと思います。肥料と言っても、化学肥料や有機肥料など種類も様々ですが、それらがどのように使用促進されてきたのかをまとめました。

そこには社会的背景が大きく関わっていて、最近では肥料を使用しない農業も注目を集めています。

これらについて、以下の3つにポイントを分けて書くので読んでみてください。

1、化学肥料と社会的背景 2、有機肥料と社会的背景 3、肥料を使わない栽培方法

1、化学肥料と社会的背景

まず化学肥料の使用についてです。

日本では約90%以上の農家さんが慣行栽培と言う化学肥料と農薬どちらも使う栽培方法をされています。
漢字で書くと、習慣のかん、慣れるという字に、行うと書いて慣行栽培です。

化学肥料の特徴は野菜に吸収されるのが早く、大量生産にも向いている点です。私たちが今いつでも安定していろいろな種類のお野菜をスーパーで買うことができるのは化学肥料を用いたこの慣行栽培が普及しているからとも言えます。
なので、資本主義社会の中で大量消費大量生産が行われている社会ではこのような慣行栽培が必要だとも考えられます。

しかし化学肥料や農薬を使うことによって環境汚染人体への悪影響も問題視されている実態があります。
では、このような問題があるにもかかわらず化学肥料を使う慣行栽培が促進されてきのにはどのような社会的背景があったのでしょうか。

実はそこには戦争が大きく関係しています。
第一次世界対戦や第二次世界大戦が行われていた頃は爆薬をたくさん製造していました。その爆薬の原料である硝酸塩は化学肥料の主成分の1つでもあります。このような理由から、肥料の生産はそのまま爆薬の生産に切り替えることが可能でした。
つまり、戦時中に化学肥料の工場をたくさん作る事は軍事工場の維持につながっていたようです。

意外にも、化学肥料は作物を作るためという目的だけでなく軍事的な戦略物資としても、需要があったことを私も初めて知り驚きました。

2、有機肥料と社会的背景

次に有機肥料についてです。

有機肥料はオーガニックや有機栽培で使われるもので、家畜の糞尿などが原料となっています。

そんな有機肥料の使用促進の背景には家畜の増加と言う社会的背景がありました。
日本では1961年から1995年の間に畜産物の消費量が年間一人当たり約6倍も増加しています。(1年間に食べるお肉の量が一人当たり約6倍になった)これに伴って畜産業は大変盛り上がりを見せたのですが一方で家畜の排泄物の発生量が1年間で約8000万トン、東京ドームで表すと約75個分も発生していると言われています。

この家畜の糞尿の処理のためにも、畑に撒いて有機肥料とすることが促進されました。

3、肥料を使わない栽培方法

最後に、肥料を使わない栽培方法についてです。

今までは、肥料がなければ野菜は育たないというのが常識と一般的にはされてきましたが、実はそうではありません。

無肥料、無農薬の自然栽培や自然栽培という農法をされている農家さんはごく僅かですがいらっしゃいます。

そして、最近ではSDGsの観点などからこの農法が注目を集めています。

この流れを見て、やはりここにも環境汚染という社会的問題の解決のために受容が出てきていると、私は思いました。

化学肥料は土壌に撒いても植物に吸収されるのは約20%で残りほとんどが空気中に出てしまい、それは強力な温室効果があります。また、土壌を介して川や海へ流れ出た化学肥料は環境汚染の原因にもなっています。

有機肥料も、家畜の糞尿だよりでは、持続性にかけるのが難点です。

これらの理由から、まだまだ普及には及んでいませんが、どちらも使わない無肥料栽培かつ、無農薬の栽培が唯一の持続可能な農法として期待されています。

1~3まとめ

戦争を背景に普及していった化学肥料、家畜の糞尿処理のために推進された有機肥料。今まで使用されてきた肥料には各々このような事情があったようです。

また、無肥料栽培は今までの経済活動によってしわ寄せが来た環境問題を解決するという、大きなミッションを託されているとも考えられます。

結論

化学肥料も、有機肥料もその使用促進には社会的背景が大きく関係していて、栽培方法がこんなにも農業主体ではなく、社会の事情に左右されていていいのだろうか…と私は感じました。

いたしかたない、という言葉に尽きるかと思いますが、これからの時代は環境にいかに配慮しているかという新しい価値観も重視されてくるので、地球のためにも、人々の健康のためにも無肥料の自然栽培が普及することを願っています。

私達にできること

無肥料、無農薬の自然栽培や自然農が普及するために、まずは肥料がなくても野菜は育つ!というある意味衝撃の真実を多くの方々に知ってもらいたいです。

そのためにも、私はプランターでの自然栽培に挑戦しており、その様子をInstagramで配信しています。

去年の春から始めたこの挑戦は、ゆっくりですが着実に実を結んでいます☆

実際に無肥料無農薬で野菜は育ち、オクラやいんげん豆、うまい菜などが収穫できました!

写真は、もうすぐ収穫できそうな我が家の大根です。

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肥料を与えていない野菜は、残留窒素によるエグミがないので、優しい味で美味しいですよ。

家庭菜園を始めるのはちょっと大変…という方は最近ではネットで自然栽培農家さんの野菜を買うこともできるので、ぜひ農家さんの応援のためにもそのようなサイトをチェックしてみてください。

本当に地球と身体に優しい野菜は無肥料無農薬で栽培できる!




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