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【読書感想】傲慢と善良を読んで、自分と子供の関係性を振り返る

こんにちは。すうちです。

7月に入り仕事の山は一つ越えましたが、先月は現実逃避で娯楽と読書の日々が続いてました。

今回は最近読んだ「傲慢ごうまん善良ぜんりょう」について、どちらかというと本筋と違う雑多な感想です。

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※タイトル画像:patersonさん



はじめに

辻村深月 (著)

あらすじ

婚約者・坂庭真実が姿を消した。その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。「恋愛だけでなく生きていくうえでのあらゆる悩みに答えてくれる物語」と読者から圧倒的な支持を得た作品が遂に文庫化。《解説・朝井リョウ》

Amazon.co.jp: 傲慢と善良 (朝日文庫) 電子書籍: 辻村 深月: Kindleストアより引用


テーマは婚活ですが、その裏にある今の社会の生きずらさ。時代の変化による親と子の価値観の違い。無意識に自分の中にある傲慢さ・善良さを問う話と思いました。

前半は主人公・架が婚約者・真実の失踪の原因を探る視点(彼女の過去と向き合う)と後半は真実の視点で語られる対比の構成も興味深かったです。

先の展開が気になり物語に引き込まれましたが、私は加えて(最近の悩みでもある…)親と子の関係性に何度か立ち止まる場面がありました。

※以降、ネタバレはありませんが、一部想像できる話は含まれます


『傲慢と善良』感想

あなたのためは誰のため

母と子のやりとりで「あなたのため」的な会話が出てきます。自分も子供との対話でつい言ってしまっているな、と気づきました。

親の立場で考えると、子供が今の道をそのまま進むと明らかに失敗する。将来上手くいかないと経験で感じると「何か少しでも良くなる方向に」と口出したくなる気持ちは、共感できる面もあります。

ただ、物語に登場する母親は、(その特徴が強調されてる面はあるにせよ)子供のためと言いながら、自分の見栄や狭い価値観で子供の進む道を枠にはめることを悪気もなく無意識でやっている…というのが怖いと思うのと同時に「じゃあ、自分はどうか?」と考えさせられました。

基本的に子供には「失敗を経験させて本人に学ばせる」スタンスを心がけたい気持ちはありますが、今は十分にできてないかもしれません。


親の価値観のおしつけ

私自身の個人的な考えですが、例えば片付けや整理整頓は大事、心地よく暮らす上で必要なこと、と思っています。

我が子はどちらかと言うと片付けは苦手。ひどい時は、食事の後もそのままで、服もその場で脱いだと思われる抜け殻が部屋に散々している状態(もっと小さい頃から具体的な片付け法を教えたり習慣化すべきでしたが、それができてない親の責任もあると思います)。

「流石にこれはどうなんだ」と、それがきっかけで子供と口論になることもしばしば。。。

ただ、過去の偉人や成功者の中には、整理整頓など片付けは苦手だけど別の面で秀でた才能を発揮した人もいるし(自分の子供がそうとは限らないけど…)いっそ細かいことは目をつぶって、もっと子供の個性を伸ばす方に目を向けるべきか、と思うこともあります。

最近は時代の変化が激しく、親の感覚とズレるのもある意味当然で子供との対話で「これは単に自分の価値観の押し付けか?」考える機会も増えていて、どこまで言うべきか言わざるべきか自問自答の日々です。


結局、今の時代に何が正解なのか

読み終えて親と子の関係を考えるきっかけになりましたが、その正解はよくわからなかったです(そんな簡単な話なら誰も苦労しないかもしれない…)。

一つの理想は、子供が自分で選択肢を見つけて人生を歩んでいくことというのが個人的な意見です。

一方、自分が学生だった頃を思い返すと、社会に出たこともなく、世の中もよくわからない状態だったし、人生の選択肢を一人で見つけて自ら進む道を決めていける子は少数派なのでは?とも思ってしまいます。

その場合、ある程度親が情報収集や選択肢を提示するサポート的な役割はどうしても必要な気がしますが、それも親の価値観が入ってしまうので、これらを完全に切り離して考えるのも中々難しい気がしました。

今の時代は選択肢が多いので、昔は迷いなくできてた事が色んなものが見えすぎるが故に、本の中にもあった様な(無意識に)自分の価値を高く見積り「こんな所では終われない…」「もっと良い出会いや人生があるはず…」という迷いや考えに繋がることもあるのかな、と思いました。


最後に

最近思うのは、「親がどこまで子供の人生に関わるべきか?」という問いです。

小説の両親のような、子供の人生のレールを全て決めてあげるのが正解とも思えないし、かといって、子供に任せて好き勝手にさせたあげくその人生が良くない方向に向かっていくのは親としては避けたい思いがあります。

子供にとって、幸せな人生って何だろうと考えた時に「一人でも生きていけること」「衣食住に困らない程度に暮らせること」が最低限あれば、後はおまけ的な要素な気がします。

これからも子育ての苦労が簡単に解消することはないかもしれませんが、知らず知らずのうちに親のこうあるべき的な期待や願いが子供の負担になることだけは避けたいと思いました。


補足:

辻村さん独特の後半のどんでん返しや、別テーマとして過去の傷や心の再生もあるなど予想外の展開もあり、単純に小説自体の面白さや読後感も良かったです。

もし詳細気になる方は、ぜひ書籍を手に取ってみてください。

辻村深月『傲慢と善良』公式サイト (asahi.com)

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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