映画感想文「香港の流れ者たち」いまの香港がわかる社会派人間ドラマ。しんみりと受け止めた
90年代、香港はおしゃれでイケてる街だった。
成田から4時間。手軽で物価も安くて週末に海外旅行が楽しめる場所。何度か旅した。
今で言うと韓国みたいな感じで最先端を学ぶ場所でもあったのだ、
映画も次々と名作が生まれていた。「恋する惑星」(1994年公開)、「天使の涙」(1995年公開)、「ブエノスアイレス」(1997年公開)など、日本でもヒットした映画が次々公開された。
トニー・レオン、レスリー・チャン。そして、日本のテレビドラマに金城武が深田恭子の相手役として出ていたのもこの時期だ。
キラキラしてたなー、あの頃の香港は。と今振り返っても思う。
だが、1999年の返還以降、変わった。そんな香港の今を語る映画。
高架下に段ボールと廃棄木材で家を作り暮らす、ホームレス達が主人公だ。無断で路上に荷物を置いてるとして、行政が勝手に撤去したことに対しホームレスが訴えた、数年前に実際に起きた事件を題材にしている。
カナダや他の国に移民として出ていく香港の人々。残されるのは犯罪者や貧乏な人々だ。それも描かれてる。
(ちなみに他のいくつかの映画でも最近同様なことが描かれてる。移民したいけど貧しくて香港を脱出できない若者など)
しんみりと今の香港を受け止めた。
そしてふと考える。日本で最近ヒットした作品、海外で、評価されてる作品はなんだろうと。是枝裕和監督の「万引き家族」、宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」など。
人ごとではない感じがして考えさせられた。
映画はいまを映し出す。そんなところも私が映画好きな理由のひとつだ。
いまの香港を感じたい人は必見。
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