見出し画像

映画感想文「哀れなるものたち」エマ・ストーンの熱演から目が離せない快作


海に身投げする若い女性。

それは身重のベラ(エマ・ストーン)だった。天才外科医ゴッド(ウィリアム・デフォー)の手により生き返る。ただし、損傷した脳を胎児の脳に入れ替えて。

大人の身体に幼児の知能のベラ。手掴みで食べ物を食べ、気に入らないことがあれば赤ん坊のように泣き叫び床にひっくり返る。

それでも毎日新しい言葉を学び、様々なことを覚え、急激に世の中を学んでいく。

その成長ぶりが見どころ。何の刷り込みもなく忖度もなく大胆に。そんな風に熱意を持って歩んでいく彼女はたまらなく魅力的で無敵だ。次第に周囲の男達も彼女に引き寄せられていく。

そんなあれこれがシニカルなコメディタッチで描かれる。しかも、豪華な俳優陣、夢の中のお伽話のような美しくファンタジーな映像、そして何とも形容し難い音楽で。

無邪気だった彼女が貧困や悪や人間の矛盾を知っていく過程が生々しい。とっくに忘れ去ってた昔々に感じた胸が張り裂ける思いを共に味わう。

エログロあり。性描写の多さに途中で辟易としたが、いやらしさより生命力に溢れる場面として描かれてる。

それらも全てひっくるめ、彼女の行動から目が離せない。それほどまでに終始一貫し観るものを魅了する。

純粋無垢で大胆自由。ファンタジーのような、でももしかしたら現実にいるような、絶妙な人物を見事に演じたエマ・ストーンが本当に素晴らしい。

主演女優賞はじめ、アカデミー賞11部門ノミネートも納得の出来映え。

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?