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映画感想文「彼女が好きなものは」コメディかと思いきや、友情とは何か問う泣ける作品だった

ざらりとした記憶がある。

ある日のホームルーム。先生が提示したテーマは「なぜ、A君は学校に来なくなったのか」

突然怒り出したり、高価な文房具をこれ見よがしに見せびらかす、そんな彼がみんな、苦手だった。

結局、先生に指名された生徒が「みんなが悪かったです」「かわいそうだったと思います」等と発言したのみで、ホームルームは終わった。 それからすぐ、彼は転校した。

「摩擦がゼロな訳がない。空気抵抗を無視していい訳がない。だけどそうしないと理解できないから、みんな世界を単純にしている」  この映画は、そんなセリフで始まる。

ゲイであることを隠し高校生活を送る安藤純(神尾楓珠)と、いじめられた過去からBL好きを隠すクラスメイトの三浦紗枝(山田杏奈)が、自分らしさを模索する物語。

その道程は、摩擦だらけ。少しだけ甘くて、とても酸っぱい。

周囲の友人たちが、等身大でよき。幼馴染みのお調子者前田旺志郎、クラスのリーダーで純に本音をぶつけてくる三浦りょう太(父はあの三浦知良)。

自分とは違うが、いずれの選択も胸を打つ。

コメディかと思いきや、まさかの渾身の泣ける作品。自分らしさとは、友情とは、を問う。

大人もぜひ。

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