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映画感想文「おまえの罪を自白しろ」中島健人が終始出ずっぱりで活躍。スピード感ある展開が楽しめる

テンポ良く、あっという間の展開。

2時間ドラマ並みの面白さはあり、映画館代金は回収できる。

国会議員の宇田清治郎(堤真一)は、政治の裏仕事を一手に引き受け、総理を支えてきた。長年仕え、とうとう報われると思った矢先に、事件が起こる。

孫娘が誘拐され、犯人から届いた脅迫文に書いてある言葉は、「お前の罪を自白しろ」。

自白すれば刑事事件だ。自らが罪に問われることはもちろんのこと、現職の総理大臣も巻き込んだ政界の一大スキャンダルになってしまう。

窮地の中、どうしたら孫娘を救えるのか。

惜しいのは、あまりにも主演の次男(中島健人)が万能すぎ、リアリティに欠けること。

政治を嫌い、追い詰められやむなく父の秘書になった政治新参者が、ここまで政治の世界で万能に振る舞えることはないはずだ。

しかも、物語の冒頭では声高に父を非難し正義感振りかざすだけで、その片鱗もない。なのになぜか途中から急に覚醒して活躍し始める、という違和感よ。

中島健人が頑張ってただけに、シナリオが惜しい。

更に、欲張りすぎのストーリー。

政治の清濁、親の期待が向く子供の重荷と向かない子供の悲哀、政治が悪いのは報道しないマスコミも同罪だ批判、若者の一皮剥けた成長。

などなど、軸が色々ありすぎ。

狙いはわかるが、拡散してしまった感が否めない。

惜しい。

だが、そんな中でも唸ったのは、堤真一の演技である。

肩に力入ってない感満載で、登場人物の誰よりもナチュラル。なのに、政治家として長年やってきた男の狡猾さと哀しさ、可愛らしさまでが自然に滲み出てた。

さすがである。

ベテランの凄さにしみじみ感じ入る。彼をキャスティングした人が素晴らしい。

ということで、スピード感ある物語が好きな方向き。また中島健人のファンの方向き。

なんといっても、中島健人が終始出ずっぱり。という、ファンには垂涎の作品なのだ。

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