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20滴目 氷

北風

心が氷点下で
北風ばかり吹かせてしまう

あなたを蔑み蔑み蔑みつくした
青春時代に
凍らせた心

だれかの春風が
私の心を溶かすとしたら

陽の光が当たるところへ
足を踏み出す以外
ないのだと思う

===

日陰者

慰み者は
日陰者
一生日向には出られぬ
慰み者は
日陰者
日陰に囲われて
アンダーザグラウンド
それでも守られているなら幸せでいられる
多少息がしづらくとも

===

ノック

私の氷の心をノックした
男たち

熱い男は怖くて
触らないでほしいとおもった

かといって冷たい男は
ごめんだった
これ以上冷たくなってどうする
冷たい男もまた
私に近づかない
これ以上冷たくなってどうする

暖かい男が
私の心を
ノックした

初めて暖かさに触れると
それはもう驚いて
暖かさに驚いて
それなしでは生きられなくなった

もう暖かければ
なんでもよかった

熱いものはあいかわらず怖くて避けた
ほんとうはそれこそが
欲しいはずなのに
氷の芯は
それを渇望しているのに


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