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【サボテン日記】夏休みの思い出

子どものころの、一番の思い出は何ですか?

私はダントツで「夏休み」

私は子どものころ、駅前商店街に住んでいた。通勤や通学で駅を利用する人が多く、昼間は買いもの客でにぎわった。

両親は理容院を営んでおり、周りにも商店、食堂、肉屋、魚屋、靴屋、呉服店などたくさんのお店が並んでいた。近所の人はみんな顔見知りで、何かあれば、何も言わなくても助けてくれた。

子どものころ、夏休みが待ち遠しかった。

夏休みになると毎日外で遊ぶので、今なら皮膚によくないとストップがかかりそうなほど真っ黒に日焼けする。

海やプールで泳ぐのは最高に楽しい。
子ども会でキャンプや川下りもした。

鬼ごっこやバドミントン、山や川の探検、思いつくことを片っ端から遊びつくしても、時間はたっぷりある。

3時になると父に100円をもらって、駄菓子屋にお菓子を買いに行く。100円で何を買うか真剣に悩んだ。悩みなんてそのくらいで、毎日がクレヨンしんちゃんみたいに楽しかった。

夕食の後、父は志村けんのマネをしてスイカを一気に食べ、家族を笑わせた。夜には蛍が小さなランタンになって道を照らしてくれる。父と姉と3人で、よくカブトムシやクワガタを捕まえに行った。夜の散歩は楽しい。


盆踊りの日には、親せきや店のお客さんが集まって大宴会がはじまる。子ども会で仮装して踊り、露店でタイ焼きや綿菓子を買って食べた。太鼓の音を聞くだけでワクワクしたのを覚えている。

思いっきり自由に遊んだ夏の思い出
もう2度と手に入らない、魔法の時間

「人はいつ、大人になるんだろう?」

18歳? 社会人になったとき? それとも自分の行動に責任をとれるようになったときだろうか?

気がついたら、大人になっていた。

大人になると、月明かりのぼんやりとしたスポットライトを浴びて、ただ与えられた役を演じるようになる。演じているうちに、本当の自分がわからなくなり、ただ時間だけが過ぎていく。

大人になると、思ったことを正直に言う人は少ない。正直な発言は人を傷つけるし、みんなに嫌われるからだ。

永遠に声をなくした人魚姫みたいに、心の中で叫ぶしかない。思ったことを正直に言えなくなったときが「大人のはじまり」かもしれない。

あぁ、大人って面倒くさい!

私は現在、ただの駅前に住んでいる(同じ場所)。商店街にあった店のほとんどが閉店し、かなり寂れてしまった。少子高齢化のお手本になりそうな街だ。「街」ではなく「町」と書く方が似合う。

全力で遊んだ夏休みと、にぎやかだったあの街がなつかしい。


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