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大人の皆さんに、お願いがあります。かつて大人の子供だった大人の私より。

「どれだけ歳をとっても大人になれない人間」が存在するのと同時に、「幼い頃、むしろ生まれた時から大人な人間」は確かに存在する、と私は確信している。それは私だ。

私には0歳の記憶が2,3つばかりある。そこの精神を今に結び付けてひも解くに、私は既にそこから大人の精神を持ち合わせているので、もうこれは生まれた時から大人だった、と決めてもいいと思っているし、
実際そうだと思うのでそういうことにしている。


私はその0歳の頃からすくすく育ち、妹が生まれる3歳半の時、母の産休育休を妹と母と過ごし、なぁんとなく人生の幸せのピークはそこだったような気がしてしまうのだ。
母の育休明けに、私は保育園(保育園と幼稚園が混在した、今でいうこども園のような園だった)に復帰した。
復帰して間もなく、二人の女の子たちからいじめられるようになった。

「ブス。のろま」

とののしられ、叩かれ、パシリにされた。幼稚園年少からそんな性格だったその二人に、今では感心してしまう。性格が、悪すぎないか?
なぜ「ブス」と言われて叩かれなければいけないのだ。ののしられてなおかつ叩かれるなんてどういう事なんだ。おかしいだろ。
叩きたいのは「ブス」とののしられたこっちではないのか? とは思っていたが、弱い上に反発する術もなかった私は、とにかく二人に従った。
その二人は私をいじめることがたいそう楽しかったらしく、幼稚園のお遊びの時間はとにかく私を誘った。
そして担任の先生からの私を含めたその三人の総称は「仲良し三人娘」だった。ゾッとした。誰も私を見ていない。助けてくれない。

両親は、私を産む前から教師をしていた。
母は妹の育休明けで学校に復帰していたし、妹は妹でまだ小さくて手がかかる。私は母に負担をかけまい、とかたくなに母には相談しなかった。


それでも、ある日、つらすぎて、家の近くの橋を母と手をつないで歩いている時に、とんでいるカモメをみてふと言った言葉がある。

「カモメさんはいいなあ。だって、いじめられないもん」

私の、子供時代に発した最初で最後のSOSである。怖かった。いじめられてるなんて言えなかった。母にわかってほしかった。震えるような声だった。たったの、四歳の秋だった。


母は、私のほうを少し見て、ぷっと噴き出し、「あはははは、なーーーに言ってんのこの子、おっかしーーい!」と爆笑した。
そうなのだ。
母は、どんなに年をとっても子供のような大人なのだ。私はその時サッと青ざめ、泣くこともなく、下を見て歩くことに専念した。
子供には、何を言っても無駄だ。だって、子供なんだもん。
私は、大人だ。大人になろう。大人にならなきゃ。だってそうしないと自分を守れない。
私は、持って生まれた「大人」に「大人」を上書きして生きる事を決めた。その時に。もう、誰にも相談なんかしない。みじめなだけだ。
するり、と私は母の手から自分の手を離したが、母は気にも留めない。だって、子供なんだもん。仕方ない、仕方ない。

そう思うと、私は身内を含め、多数の子供の大人に囲まれて生きていた。

嘘つきで自分に都合の悪いことは孫のせいにもする、倹約の事しか考えないでケチで孫にろくなものを食べさせない父方の祖母、
同じく嘘つきで倹約の事しか頭になく、物を買ってなんて言おうものならものすごい剣幕で怒鳴り散らすキレやすい、父方の祖父、
半アル中でお酒を飲むと性格が変わる母方の祖父、
祖父の血かなんだかしらないが気に食わないことがあるとすぐにキレて物を投げ散らかし、平日は毎日飲み会でろくに家にいない上に人の気持ちがわからない父、
人の気持ちを察そうとすることはたまにあってもそれがどれもとんちんかんなためにどこかずれて結果察することはできず自分が一番正しいと思い込む母、
おとなしくしている教え子がいじめられているとは露ともしらず、「仲良し三人娘」とか言っちゃう幼稚園の担任。


こんな子供の大人に囲まれた子供が、どうしたら生きやすくなるか知っていますか? それはその子が「自ら大人になる」ことです。
誰にも反抗しない、言うことを聞く、つらくても相談しない、自分で消化して我慢する、
それだけでこの子供の大人たちはとーーーっても楽にすごせます。
そしてその大人の子供に、子供の大人たちは言います。「手のかからない子でほんとうに楽」。
そうなんだ、私を面倒見ることは楽なんだ。大人の子供は安心します。もっともっと大人でいよう。私がもっともっと大人でいることで、周りの大人たちは楽なんだ。


そんなこんなで、
いじめられたことも、そのあと小学校に上がって性犯罪にあったときも、そのあと学校で嫌なことがあったことも、
ぜんぶぜんぶ、周りの大人に相談せずにいました。自分で、我慢しなきゃ。だって、大人に迷惑かけるわけにはいかない。大人に迷惑をかける私は、「私じゃないもの」

まあそんなこんなで

よく子供時代に破綻しなかったな、って思いますよね。

15歳で統合失調症を発症。
この世の地獄みたいな、病気の渦に巻き込まれ、
中学は前駆症状から1年生の6月から丸々不登校、精神科に中2で入院。高校はなんとかサポート校に入るが高3で病気悪化で再び不登校。
進学も就職もできず、33歳まで一度も就労経験もなく、学もなく技術もなく、毎日地獄みたいな病気の発作。

しっかり破綻しました。
それだからねー……なんていうか、


「子供を大人にさせるな。大人になったらいくら大人になれない大人でも少しは大人になれ。子供に子供の頃から理不尽な思いをさせるな」


という事を、声を大にして言いたい。
子供の頃に子供をやれなかった人間は、それはそれは大きなディスアドバンテージです。
20代前半とか童心を忘れない大人でいたい、と躍起になって絵本を集めたり、子供が読むような本を読んで回復を図ろうとしたりして、楽しかったけどみじめでした。


私のこれからの人生考えるとほの暗い。今までもほの暗かった。人生でいろんなことがあった。それはだれしもそうなのだろうけど、
あの時、橋の上で人生のすべてが決まってしまったように思う。
ねえ、子供の言うことは、どんなにおかしいと思ってもちゃんと聞いてあげてくださいね。私は母が好きだし、大事だけど、今でもやっぱり子供だなあと思うことは多々あります。
大人の子供は、少なからず不幸な大人の大人になります。
それが最善と思ってたのは、やはり私も子供だったのでしょう。
大人になったら、きちんと大人になってください。


お願いします。







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