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愛を伝えに地球に降りた動物たち③


7年ほど前、実家住まいだった20代前半の
甥が、レオパードゲッコーをショップで購入し
連れて帰ってきてしまい、姉たち家族は
甥へ、批判の嵐だったようです。
特に次男は猛批判、日本で生きられないかも
しれない爬虫類を飼うのは動物愛護じゃない、
非常識だ、と。
姉は単純に爬虫類は気持ち悪い。
義兄も姪も同じように生理的に無理だ、と。
姉宅には家族に溺愛されるビーグル犬が
いました。どうして爬虫類なんか、と
家族は呆れていました。
当時、甥は家族内で孤立していました。
あるスポーツに没頭した小学生から
親の期待を背負っていました。
HSPを自認する甥、切磋琢磨の、競争意識が
苦手だったようです。それでも叱咤されながら
続け、中学生の時、相手のラフプレーにより
大怪我を負い、リハビリ後、競技復帰を
しましたが、高校で成績が残せず、監督とも
合わず、スポーツを辞めてしまうと、部員から
いじめにあったようで、辛い経験が重なって
しまいました。心優しいことは、学校や社会
では弱い人間と言われてしまうのか。
スポーツを途中でやめたことや学校を休みがち
だったことなどを両親や祖父母になじられ、
甥の拠り所は、ただいてくれるだけでいいと、
ありのまますべてに愛情を持つ、祖母(私の母)
でした。けれども、他界してしまい、いちばん
辛い時に拠り所を亡くし、思春期の危うさなど
もあり、家族とはずっとうまく行っていません
でした。

そしてやってきたレオパードゲッコー。
餌が南米のゴキブリらしく、定期的に
宅配で届くようで、姉は箱に入っていても
受け取りたくない、と言っていました。

それでも、甥が仕事で遅くなったりすれば
やはり気になる。そしていつしか
姉も、批判していた次男も、
義兄も姪も、かわいい、と言うようになり。
それでも餌やりは出来なかったようですが。

そして甥はショップで傷ついて長く生きられない
と言われたレオパードゲッコーをまた連れて
帰ってきて。
すると今度は皆んながそのレオパードゲッコー
を心配して様子を見るようになり。

結局、2年くらいで死んでしまい、
家族みんなでありがとうと言いながら
お庭に埋めてあげたそうです。

甥は自立し、今でも
レオパードゲッコーは元気に
一緒に暮らしているようです。

受け入れ難い爬虫類でも
毎日、ひとつ屋根の下にいれば
やはり気になる。
顔を見ていたら愛着が湧く。
家族という、ひしめきあって
面倒だけど、近くて故に癖や
欠点もまるごと受け止めなければならない
関係で、けれどもそれはやはり
複雑にして単純な家族愛なのだろう。

遠い国から連れて来られた
レオパードゲッコーは
ただ存在するだけで
家族の絆を少し深めたのでしょう。

けれども
実際には
フェレットやミーアキャットなど
エキゾチックアニマルは日本の風土に
適していません。そして、なんと
密閉状態でゆうパックで送られて
死んでしまうことが多いそうです。
暑さに弱いのに暖房の中であったり、
息もできない密閉状態であったり。
また、こうした動物たちを飼いきれない、
飽きた、という理由により野に放てば
生態系が崩れるという理由から駆除されて
しまいます。興味本位の欲望だけで飼い
捨ててしまう。生まれた場所から遠く
離れ、酷い環境下に置かれ。
なんと救いのないことでしょう。

先のエピソードは決して美談では
ありません。
甥は、エキゾチックアニマルを安易に
飼おうとしました。
自分で餌やり、管理等はしていても
やはり生き物が気になる家族が
気遣ってやりました。


遠く、知らない場所に
連れて来られたレオパードゲッコー。

何を想うのか。
エキゾチックアニマルについては
かわいがっているからいいじゃないか、
と思えません。
やはり、自分の生まれた場所の
風の匂いや空が恋しいのではないか、
と思います。


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