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旅する飲んべえ(椎名町編②)


前回の記事はこちらからどうぞー。↑↑

椎名町はわたしにとって、縁もゆかりもない場所でした。
私の故郷は鹿児島ですし、上京して東京には住みましたが、結婚して子育てをしていた地は埼玉県深谷市です。

シーナと一平(宿)でも、
「ここの生まれ(椎名町)なのですか?」
とか、
「なぜ、シーナと一平にいるのですか?」
と、よく聞かれます。

話は長くなるのですが、というか、
けっこう、これは、不思議な話です。

実は2012年に思い立って世界一周の旅に出て2ヶ国目(トルコ·イスタンブール)のゲストハウスで、フランスに留学していた日本の女子大生に出会いました。

ここで、出会った女子大生が後のシーナと一平の初代女将さんだったんです。

トルコでしか会ってない方が、椎名町で宿の女将になるとFacebookで知ったときに、何故か?行きたいなぁと思ったのが最初のきっかけでした。

その当時私は、夫と別居中で東京の武蔵小山というところで一人暮らしをしていました。
20年働いた会社でしたが、東京に異動したとたんに苦しい場所となり、辞めようかどうしようか?と迷っていました。

仕事を辞めるかどうかは本当に悩みました。何故なら、私の経済的基盤を失うからでした。

そして、思い切ってプータローになって、シーナと一平に遊びに行ったんです。



シーナと一平に遊びに行って、あれよあれよと
夜のみbarをやってみれば?という話になり、宿がオープンして1年後、ここで私は働くことになったのです。

今は、ただただ、ご縁に感謝という気持ちしかありません。
そんなシーナと一平は再スタートする私にとっても、そして訪れる人にも幸運を与える場所のような気がしてます。
さて、またまた前置きが長くなりました。

私が、宿の仕事をしていたときなかなか外に飲みに行くことは無かったのですが、その日は早くにチェックインが終わったので、30メートルくらい先の、「バル417」に行ってひとりで呑んでいたのです。


BALのマスターが、

「さちこさん、この方はすごい人ですよ。」と近くに座っていた方を紹介してくださったのです。


椎名町のお寿司屋の大将でした。何でもミシュランを何年間も取っていて(ビブグルマン)「予約が取れないお店なんだよー。」と、言っていらして、いつか行ってみたいなぁと思ってそのまま時がすぎてしまったんですが、ここコロナ後、私のバーに初めて来られる方が、


「松野寿司で、食べてきてその帰りにふと、目について」

と、なぜか2組くらい、そう言われて入ってくれた方が続いたんですよね。

そういえば!と思いだし、松野寿司さん!ずっと行きたかったけど予約できるかな?と電話したら、ひとりだったら大丈夫ということで、運良くお邪魔できることになりました。


私は電話で自分の名字だけ伝えたのですが、

「前にBALでお会いしたことがあって、、、」と言ったら

「あら?シーナと一平のおかみさんでしたっけ?」と、かすかに覚えてくださっていて感動しました。

椎名町で親の代からやっていらっしゃるという、2代目さんのご主人。ひとりでお寿司を握っていらっしゃいます。

カウンターは7席ほど。小上がりが、2卓ありますが、コロナもあって今はカウンターにアクリル版の仕切りがありました。


まずは日本酒を。冷やで(宮城·日高見)1合。


先付けは塩で締めてある帆立貝を擦りたての生わさびで。

この時点で、とても手がかかっているなぁと、期待でワクワク。
おつまみを少し頼みました。


旬の白子。

ふむーー。やはり、冬の味覚。クリーミーさが上品。

あら?今の時期、カツオあるんですね?と聞いてみたら迷い鰹というらしいです。こちらは、カラシでいただきます。

アオリイカ


あれ?私がいつも食べているイカと違う。
すくっとした歯触りからの、トロリとした甘味。煮きりがほどよく後に残ります。
2018年からミシュランの (ビブグルマン)を取っていらっしゃるということです。(2021年も獲得)


お酒、次は、伯楽星(はくらくせい)を。

巻き海老。車えびの小さいものだそうです。

赤貝。身が、サクサクとしててビックリです。

握り、全部は紹介しきれませんが、とにかく
こんな贅沢、生きてて良かったと思うほどです。


すべての握りは、一仕事してあり、それが丁寧なことが味でわかります。ちなみに、ここのガリが、絶品!自家製でしょうが、生姜の辛さがきわだったものです。お持ち帰りしたいくらい!でした。

お寿司は、おつまみもいただいて、考えられないお値段でした。

私としてはぜいたくな、カウンターでお寿司体験でしたが、女ひとりで、カウンターでお寿司をつまめるようになったのだなぁ。としみじみうれしいような、、こんな歳になって、(おとな)の仲間入りをした気分です。


そして、何より大将との何気ない会話。そんなにおしゃべりではない大将のすっと、心に響く会話。ひとりで呑んでいる方もいらして静かな空間ですが、心地よかったです。

おとなの仲間入りです。ここ椎名町で又食べに行けるといいな。あまり有名になると地元の人が困るかな?

何て思いながら、しあわせな時間でした。


椎名町は、やはりよいよ。

これまで、がんばったよ、ちょっとご褒美にいいじゃない!!という時のために、これからも働いて生きていきたいと思っています。





















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