母の遺品整理？というより
もう
人が死んだら
むかしむかしとちがい
モノがあふれているこの
現代の日本では
現金以外
いまはもうほとんど
いらないものばかりになるんだと
しみじみ思った
洋服だって靴だって
お布団も化粧品もバッグも
捨てる以外にしょうがない

高価な宝石とか時計とか
いっぱい持ってる
お金持ちの人と違い
母は自分の入院費とお葬式代と
わたしたち姉妹の
看取りご苦労さん
温泉旅行費くらいの
お金を残して逝った

それなのに
そうなんです
お金がないのに
通帳だけは
いっぱい残ってた
古いいらない通帳と
はんこ屋さんしてたなごりの
柘植や象牙の立派な
銀行印、実印をいっぱい
古い保険証やポイントカードとか

そして
わたしは母を笑えない

わたしのダメダメなとこぜんぶ
見せつけられてる気がした
わたしも
印鑑こそないけど
古い通帳やキャッシュカードや
会員証やポイントカード
残してる
活字フェチのわたしは
字が書いてあるもの
印刷してあるもの
捨てることにためらいがある
学生時代の写真どころか
交換ノートや
手紙やはがきまで残してる
このお休み中に
絶対ぜんぶ捨てる