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母とは呼ばない


母がときおりわたしのことを
お母さんと呼ぶ
だから
わたしは母に
わたしはあなたのお母さんではない
あなたのお母さんのジュウさんは
もうなくなってるでしょ、と答える
脳幹出血の記憶障害、後遺症
発語障害もあるから
自分で自分のことを説明できない
記憶がどんなふうになっているのか
脳のどの機能が働いていて
どの部分が駄目になったのかわからない
肉体的な機能障害は
できないことがわかりやすいけれど
(もちろんこれからリハビリで回復もするだろう)
頭の中はわからない
経鼻経管してると嚥下障害の
リハビリがしにくいため
認知症になりやすいともいう
わたしが呼びかけるとき
母のことをお母さんと言ってるので
それの真似をして
母がわたしをお母さんというのかもしれない
いやだいやだ
わたしはあなたの世話をしてるけど
あなたはわたしの子供ではない
あなたを母と思うのも、
もはや嫌だと感じている
他人と思えば世話も楽になり
情けないという思いも
軽くなる気がする
だから、これからわたしは
母に呼びかけるとき
名前に「さん」をつけて
呼ぶことにした
そしてわたしのことも
おかあさんでも
なまえ(呼び捨て)でもなく
フリーレンかナースと呼んでと伝えた
そのほうが気持ちがラクになって
お世話も親身にできる気がするの



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