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【小説】SNSの悪夢

知らない電話番号から電話が掛かってくると、いつも取るかどうかで悩む、下手なセールスや投資の話を聞きたいとは思わない。

だけど、彼女との連絡が付かない今、どの電話も彼女からかもしれないので電話に出る。

「もしもし?」携帯電話を間違って無いか解らないからか、何だか疑問形の言葉に為る。

一瞬の沈黙がある、電話なのだから言葉を言えよ、そう思って切ろうとしたら、声が聞こえてきた。

「もしもし、勲さん、私です、有理。」久しぶりの彼女の声だ、やっと電話を掛けてきたんだな。

「もしもし、今何処にいる?」言いたい事は沢山有るが、言い出すと止めどなく口から出そうで、一度言葉を切った。

「それは如何でも良いじゃない、それよりも離婚の話しをしましょうよ。」それが当たり前の様にぶっきら棒に言葉を紡ぐ。

「どうでも良く無いだろ、何も言わずに出て行って、君の居る場所が如何でも良いわけ無いじゃ無いか。」語気を強めて言う。

「だって、それはあなたが不倫したからであって、私の問題ではないでしょ、不倫した人と一緒に居るなんてできなかったのよ。」大き目の声が聞こえてくる。

「不倫じゃ無いって言っただろ、それに証拠は無いんだよな、だって俺は不倫なんてしていないんだから、君が信じられなかったから、出て行きたかったんだろ。」丁寧に説明するつもりが、強い口調に為っている。

彼女は言い訳をしているが、自分のSNSが炎上する様に書いてきた中の一人なんだよな。

「私はどちらか解らなかったのよ、だけど一緒の空気を吸っていられないし。」だんだん小声になる、本当の意味での理由じゃないのだろう。

「信じてないの言い訳がそれか?自分は信じていなかったし、何なら罵倒も書いたと言ったらどうだ。」一度会うために、厳しい言葉は言わないつもりだったのに、口からつらつらと言葉が出てくる。

「何のことか分からないわ、あなたが雑誌に不倫って書かれたのよ、それが私の罪なの?」言葉が嚙み合わない、これ以上言っても無駄というものだ。

「そうか、何も認めないんだよな、まあいい、俺も君とこれ以上暮らすつもりは無い、何処かで離婚の話をしよう。」これ以上は何も無かったのだ。

これからは離婚しか考えられない、彼女との生活は始まったばかりだったから、財産分与も無い、勿論不倫の証拠も無いだろう、紙を整えて役所に出すだけだ。

「私は慰謝料を貰いますからね、だってあなたの不倫が原因なんですから。」証拠も無いのに彼女が強調した。



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