見出し画像

【小説】SNSの悪夢

こちらもランチを頼むとするか、1500円のランチは美味しいのかな、余り外で食べないから解らんが。

「何になさいますか?」自分の所にも店員が水を持ってくる、忙しいのか顔も見ない。

こちらも顔を見せたいとも思わないから、あちらは見ずに注文を言う。

「1500円のランチで。」隣と一緒の注文だ、きっとこれを頼む人間が一番多いから、直ぐに運ばれてくるだろう。

「1500円のランチですね。」無機質な声が返答してくる、忙しくて丁寧で入られないのかも知れないが、これだったらパソコンに注文した方が良いな。

隣では注文した物が運ばれてくるまで話がはずんでいる様だ、聞いて居ると仕事の話をしているのかと思えば、女性の話をしている。

「先輩、この前受付に入って来た新人の子可愛いですね。」これはセクハラって言わないのか、本人が居なきゃそれで良いのか。

日本の会社はまだ外見主義なのか、今ではルッキズムはタレントの身になったと思って居たんだが、いやタレントさえそれを中心で考える人間は減ってきているというのに。

「うん、可愛い子だな、これまでが違っていたから、目立ってるな。」これは酷い、聞いていて気分が悪くなる。

「ははは、先輩言い過ぎですよ、これまでだって、それなりだったじゃ無いですか。」薄ら笑いで答えている。

自分が現場でこんな風に交ぜっ返したら、きっと次の仕事には有り付けなくなる、この世界はこれで良いのか。

それとも、こんな人間達だから平気でSNSで無いことを言ったりするのか、1人で納得したりしていた。

「1500円のランチです、どうぞ。」話していた席にランチが運ばれる、店員は気にして居ないのか、それだけ言ってランチを置いて戻っていった。

「何か、店員の態度が横柄じゃ無いですか。」若い奴が不服そうに話している。

「まあそう言うな、ここは近くて早くて値打ちにランチを出してくれるんだ、店員の態度は大目に見ようぜ。」偉そうに話している。

「1500年ランチです。」こちらにもランチが運ばれてくる、やはり無機質な行為に見える。

忙しすぎて何も感じる暇は無いのだろう、自分がアルバイトで生計を立てていた時期も、他人の事を考える暇はなかった。

元よりこの店では無機質に対応するのが普通みたいだ、下手に愛想をすると、勘違いする客も居るからかも知れない。

アイドルと一緒なのかもな、一生懸命お客様だと考えて愛想笑いしていると、いつの間にか自分だけに微笑んでいると、勘違いするやからも多いと聞いたことが有る。

店屋の店員の笑顔も勘違いの元だから、気を付けているのかもな、考えながら食べ始めた。



文を書くのを芸にしたいと思っています。 頑張って文筆家になります。 もし良かったらサポートお願いします。 サポートしていただいたら本を買うのに使います。 ありがとうございます。