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うちのヤバいだんな62話公開されています

土曜日にcakes連載、更新されました。

どういうわけか、じわじわと不穏なムードが漂い始めている事に気が付いた私、という回です。

お友達の集まりで、手のひらや名前、生年月日で色々お話してくれる方にちょっと観てもらいました。

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この時点では、私たちが上手く行っていないという事には、自分でもまだ明確には気が付いていませんでした。ただ、心の片隅に、どろどろと淀む疑念みたいなものはあった気がします。

だから、結婚したいっていう気持ちも、今の相手も違うんじゃない?って言われると、なるほど本当はそうなのかも、と思いました。

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そうなのかも、とは思っても、私はどうすることもできません。だって、どう計算してもここから振り出しに戻った所で、私が再び今と同じくらいの地点に戻って来れる気がしない、全然しないのです。前髪ぱっつんで、ウサギの顔のバッグを持って歩いているような女は、なかなか難しい事をきちんと自分でわかっています。

それにしても、周囲を見わたしても、なかなかどうして、皆さん素敵にぴったりくる相手と普通に結婚しているじゃないですか。それなのに、私はこんなにも上手く行かない。東京には大勢の人々がひしめき合って暮らしているのに、私はどうしてベストな人と出会い、スムーズに結婚できないのか。私はなんて不運なんでしょう。

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誰かの左手の薬指にキラリと光る指輪をみとめると、無性に腹が立つほど私はこの頃イラついていて、自分も早く指輪をはめて見せびらかしたいと切望していました。皆、勝者の証として指輪をチラつかせ、未婚の人間を蔑んでいるのだろう、と思っていました。

私も勝者になりたい。

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だから、「世間体を気にして結婚にこだわるのか」と聞かれたとき、「ああその通りですよ、世間体ですよ」と思いつつも、ぐっとこらえました。

世間体だと言ってしまうと、誰でもいい、と解釈されがちで(そんなわけない)、もう取り返しがつかないくらいに関係が崩壊した過去がある私。もう大人なので、そんな失敗は絶対したくない。

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それにしても、何かがおかしい。

この人、こんなに冷たくしゃべる人だったっけ?

この人、数か月前は子供どうする?なんて言っていたよね。

この人、どうしちゃったんだろ。

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私が何か言っちゃったのだろうか、何があったっけ?

年始から順を追って思い出してみても、いつから変になったのかわからない。でも、わかったところでどうしようもない。犬を飼い始めた時は、これで私たちは家族なのかな、なんて思ったのに、むしろ犬を介して喋っているだけで、私たちの間の距離は広がってしまったみたい。ああ、犬のせいかも、だって、他に何もないんだから。犬なんて、飼わなきゃよかった。

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(もう、取り返しがつかないくらいに私達はダメになってしまったんだ)。恋人関係は、冷めてしまったらもうお仕舞い、という事を私は知っています。もう、絶対に以前と同じには戻らないはずです。そして、今の関係の先行きも既に見えています。私達はきっと、冷たい目をして別れるのでしょう。

ああ、でもそんなの無理。朝も昼も夜も一人の部屋で、抑揚のない時間を過ごすのはもう無理。

私は、何も言わず、何も気が付ついていないような振りをし続けます。


☆☆☆

というわけで、全然円満じゃないお話になってしまいました。

しばらく絶望と希望が入り乱れる漫画になりそうです。

明日はお休み(毎週月曜は休みみたいなもんですけど)、嬉しいですね!


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