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「合宿の夜」(番外編4:前編)

 これは私が高校一年生だった時のお話です。それはひどく暑い日で、私がまだブラスバンドに参加していた頃なので、夏か初秋の頃だったと思います。私たちは同じ市内のある研修施設で一泊二日の合宿を行いました。

 早朝から、それぞれの生徒の自転車や、学校出入りの楽器屋さんのトラックを借りて、それぞれの楽器をその施設まで運び、実際の練習場所はそこからさらに少し離れていたので、ティンパニや大太鼓などかさばる物が多いパーカッションは、他のパートの手も借りて、楽器を運びました。すぐさま個々のパート練習、全体練習が始まりました。

 相変わらずパーカッションの3人の女の先輩は集合時間も守らず、特に私に何も教えてくれようともしなかったので、相変わらず楽譜も読めない私は、なんとかその場を取り繕うことで必死でした。

 確か次の定期公演の曲目をモノにしていくために、何回かのパート練習、合奏を繰り返し、夕方遅くにその日の練習が終ったと思います。もう夕食に何を食べたかなんてまるで覚えてないのですが、事件はその後、お風呂の時間に起こりました。

 その家庭のお風呂の少し大きいくらいしかないお風呂に、どういう順番だか、とにかく最後に、私が(不本意ながら)属する一年男子の順番が回ってきました。ひどく汗もかいていたので、私には「お風呂に入らない」という選択はできませんでした。

 入る前には、時間は30分と言う話でしたが、私たちが入っている最中に部長が顔を覗かせて、確か「15分だ」と言うので、仕方なく私たちは大急ぎで入浴を済ませようと焦りました。

 すると、すぐさま三年や二年の先輩がその狭いお風呂に顔を出してきて、私たちの裸を見て話をし始めました。私は恥ずかしくて仕方なかったのですが、逆らうこともできず、さりげなく身体を隠しながら、早くお風呂を済ませようと更に焦りました。

「よーし、お前ら、壁際に並べ」と、ある先輩が言いました。

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