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眉毛と歯並びの話、ではない。たぶん。

noteを書くときは、なんだかやっぱり心があたたかくなるというか、安心するなぁ、と思います。

どのプラットフォームであっても、インターネットという大海の中であることは同じ。物理的に安全が守られている場所ではないし、心理的安全が確保されている場所でもありません。そうだとしても、やっぱりなんとなく、他とは違うなぁ、と思ってしまいます。「あぁ、私はこれから、私自身のことを書くんだ」と。ここは、PV数なんてどうでもいい。読みたい人が、読んでくれればそれでいい。かっこつける必要もないし、美しくいようとする必要もないから。


最近、「自分」と「他人」をよく比べてしまいます。

最近、というか、別にそんな悩みは大昔からあるものなのですが、顕著に感じてしまう。

例えば、ライターの仕事でインタビュー記事を書くとき。
五万といる「ライター」たちの中で、私に依頼が来た理由はなんなのだろうか。私が求められていることは、できているのだろうか。私にしか書けない記事って何? 私である必要性ってどこ? 

こんな疑問は、湧くだけ湧いて、消えていくことはありません。

どこまでいっても、代わりのあるものなのかもしれない。どんな仕事でもそんなふうに思うのかもしれませんが、フリーでこうして自分の名前を記してやっている以上、やっぱりどうしても考えてしまう。私である必要性が証明できなければ、意味がないのではないか、と。


例えば、ファッション雑誌のwebで記事を書くとき。(最近、女性誌『BAILA』の専属読者インフルエンサーというものをやらせていただくことになりました)

女性ファッション誌のweb記事ですから、やっぱり文字だけで勝負、というよりかは写真などの見た目も重要になります。かと言って、私はモデルでもタレントでもありません。どこまで綺麗に着飾ったとしても、写真としての美を極めることはできない。

ただ実際、「文字を読みに来る」という人は、多くはないと思います。文字を読みには、来ていない。noteやインタビュー記事をクリックしてくれる人とは、また違う準備状態で、そのページにやってくる。そういうことを考えると、とてもとても短い文章で伝えたいことを伝えなければなりません 。

そもそも、「伝えたいこと」ってなんなんでしょうか。

「伝えたいこと」
「やりたいこと」

それってすごく"確固たるもの""人間の核"のように扱われがちなトピックですが、案外そうでもない。考えることなんて日々刻々と変わっていくし、世の中もどんどんと移り変わっていって、「伝えたいこと」「やりたいこと」も同じように変わっていきます。

せっかく同じ世代のたくさんの働く女性たちにアプローチできる術を得た今。どういったものを発信していくべきか、と、とてもとても考えています。

日々更新されていくアクセスランキングの中で。
美しくて凛として個性を持った女性たちの顔がずらっと並ぶ中にある、自分の顔写真を見つめながら。

この中で、私ができることは何なんだろうか。私がやりたいことは何なんだろうか。私がすべきことは何なんだろうか。

できること、やりたいこと、読み手の興味を惹くことができるもの、読みやすいもの、数字として影響力を持てるもの。そういったたくさんの軸の中で、自分にとって一番「ちょうどいい」場所を探して、チューニングしていかなければなりません。


人と自分を比べるって、しんどいですね。

だってみんなすごいもん。綺麗でかわいい人もいれば、特別な資格や経験を持っている人もいる。とびきり優秀な人もいるし、センス抜群な人もいる。この人の知識量には勝てないよ〜と思う人も大勢います。

なんだか、小学生くらいから誰しもがずーっと抱えているようなお悩みを書いていると、こういうのって変わらないんだなってちょっと可笑しくなっちゃいますね。成長しろよ〜!(バシッ


さて、普通に良い感じのエッセイを書こうとすると、「人と比べなくても良いんだよ」とか「自分を好きになろう」とかいうこと書いちゃうと思うんですが、今の自分が人と比べてしまって悲しい気持ちになっているモードなので、そんなの書けません。

が。

人と横並びで比べて見られることで気付けることもあるんだな、人前に晒されることで気付けることもあるんだな、とも思うんです。なので、書きますね。ポジティブでもネガティブでもなんでもない、フラットな出来事。


先日女性誌に載せていただいた私の顔写真。

ある夏の暑い日に、編集部の方が手配してくださったプロのカメラマンの方に撮っていただいたものです。当日は基本的に自分でメイクをしていったのですが、少しだけプロのヘアメイクさんが手直しをしてくださるということで、お顔を預けました。

一番直されたところが、眉毛でした。

私、昔っから眉毛にコンプレックスがあります。
やたらと毛量が多くて、放っておいたら両津勘吉になっちゃうくらい濃くて、ふさふさを通り越してゲジゲジ。

私が高校生くらいのときは、とにかく細眉が流行った時代でした。セブンティーンに載っているえみちぃ(モデルの鈴木えみさん。私の女神でした)を見ては、あぁこんな綺麗な細眉になりたい、とずっと思っていました。とはいえ、メイクの方法もよくわからず、母親のカミソリをこっそり借りて剃ってみるくらいが精一杯。

もちろん周りも細眉ブームですから、そしてティーンエイジャーは無邪気に人の見た目をイジりますから、濃ゆ〜く生えた眉毛を触ってきて、爆笑しながら「ゲジゲジじゃーん」「めっちゃ生えてんね!?」とイジってくることもしばしば。

そんな私はある程度大人になり、毛抜きで整えること、長い眉毛はカットすること、アイブロウペンシルやパウダーを使うこと、眉マスカラで色を薄くし眉毛の印象を薄くすること、などを覚えました。なんの根拠もなく、何を考えるまでもなく、眉毛の印象は薄い方がいいんだ、と思い込んでいたのです。

もちろん撮影当日もそんなメイクをして、眉マスカラでガッツリ明るめの眉毛にして行きました。

そこでメイクさんがやったのは、焦げ茶色の濃いめのペンシルで、眉毛を濃くする作業。

えっ? こんな濃くていいの? と普通にびっくりしました。
でも、メイクさんは「濃い方がいいじゃないですか〜」と、あっさり。どんどん濃くしていきます。

私が「眉毛、元々濃いんで、びっくりしました...」と言うと、
「えー、元々濃いなんてラッキーですね! 眉毛、濃い方が可愛いから! みんな、今は太眉だし、眉毛濃くしてるじゃないですか」と。

たかが眉毛、されど眉毛、です。
たしかにメイクさんのいう通り、雑誌に目を落としてみれば、テレビの中の女優さんをみてみれば、みんな眉毛が太くて濃いのです。そんなことを、私はその時まで、気づかなかったんです。細眉が良いんだ、と思ったその日から、自分の中の小さな世界の中に閉じ込められたままだったようです。

自分の中で「私の眉毛、濃くていいんじゃん」と心から思えたのは、正直その時が初めてだったと思います。


もっと言うと、私は歯並びもコンプレックスです。
「あー私、歯並び悪いなー」と思わない日は一日もありません。ただ、自分でいかにもコンプレックスだ、という態度をとると、そこにつけ込んだりイジってきたりする人も少なくないので(眉毛で学びました)、普段は堂々と口を開けて笑ってきました。

ただ、それは、普段、の話。プロの人に写真を撮られて、それが不特定多数の人の目に触れると思うと、話は変わってきます。

どうしても、強ばる顔。表情。頬。

すると、カメラマンさんは「もっとニッコリ笑っていいよー」と言うのです。

思い切って大きく歯を出してニッコリ笑うと、「あー、それいい! すごくいい! かわいいよ!」と。

結局、多分撮れた写真のほとんどがマックス笑顔の写真だったと思います。本当にこれ、可愛いか?と思いました。正直。顔の造作のアカンところ、全部出てるぞ、と。

その経験を経てから、いろんな人の顔をよくみるようになりました。それこそ、インスタに載っている一般の可愛い女の子の写真。tiktokで踊っている高校生たちの動画。テレビに映っている芸能人たち。

そうすると、たしかに、一番「かわいいな」って思う人の顔って、必ず満面の笑顔なんです。性別は関係ありません。

造作なんて、人は見ていない。一番目を惹くのって、目が輝いていて、リラックスしていて、「あぁ幸せ〜」「なんか楽しいね〜」っていう気持ちがこちらまで伝わってくるような顔なんです。

なんとなく、自分の中の「美しい」の価値観が変わった瞬間でした。


人と自分の顔が並ぶのは、やっぱり緊張します。見られるのも、怖い。
でも、そうやって客観的に見られて、初めて気づく「これで良いんだ」「むしろこれが良いんだ」ということもたくさんありました。

文章においても、もしかしたら同じかもしれません。
「さえちゃんのインスタ、なんでつまんないことを投稿して、24時間で消えちゃうストーリーの方が面白いわけ?」とか言われたらイラっとはしますが(←さっき言われた!!!)それって結局、気楽にやってるストーリーの方が、「私」が伝わるっていうことなんだと思います。「面白い」って、何も特別なことじゃなくて、人より美しかったり賢かったりセンスが良かったりしたら良いっていうことじゃなくて、「その人」が伝わるっていうことだと思うから。


そんなこんなを、毎日試行錯誤したり、胸に手を当てて自分の心に聞いてみたりしながら動く日々です。

こうして毎日生きていて思ったことを、胸いっぱいになりながら書くものが、本当に私らしくて、私の書きたいこと、なのかもしれません。

Sae

「誰しもが生きやすい社会」をテーマに、論文を書きたいと思っています。いただいたサポートは、論文を書くための書籍購入費及び学費に使います:)必ず社会に還元します。