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【マウント】第10話「昨日の敵、明日の敵」

これは「チャット小説」として書いたものです。
そのためセリフ以外の感情等の表現を極力簡潔にしてあります。
セリフをもとに想像してお読みください(*vωv)

ユキノ「皆さんのお名前を教えてください。」
ムネチカ「この紙に書きましょう。」


 女子たちは紙に名前を書き、ユキノは管理人にDMを書く。


「管理人制裁を受けた方々から謝罪を受けました。
 一切脅迫などはされていません。
 きちんと十分、お互い話し合いました。
 私ユキノは謝罪に来た以下の方々を許します。
 彼女たちの制裁解除をお願いいたします。」


 その後に、ここに来た全員の名前を書き、写真と一緒に送信した。


ユキノ「送信しました。あとは管理人次第です。」
ムネチカ「ありがとう…ユキノさん…どんな結果が出ても受け入れます」
マサキ「生徒会室にはお茶とかねーの?せっかくの初顔合わせなんだろ?」
ムネチカ「あ…そうですね」

ムネチカは新しい紙コップを開けて配るとペットボトルのお茶を注いでまわった。

ムネチカ「会議用のお茶です。今開けたものだから安心して飲んでください」
マサキ「そんな暗殺みたいなことねーだろ。」
ユキノ「あの…衛生への配慮かと…」
マサキ「あ…俺ドラマの見過ぎだな(苦笑」
ユキノ「クスクス」


 泣きじゃくっていた女子たちは無言だったが
 マサキは積極的に彼女たちへ声をかける。
 冗談を交えた彼との雑談に、女子たちは時に笑い、お茶を飲みながら少しずつ落ち着きだした。


ムネチカ(こういう気遣いができる人だからモテるんですよね…
 本人は気づいてないみたいだけど…)


するとユキノにメールが届く


ユキノ「あ!管理人からです!」


一同はにわかに緊張する


ユキノ「読みますね。

 ユキノ様
 DM拝読させていただきました。
 書かれていた名前と写真を確認いたしました。
 確かに制裁宣言を出した方々です。
 ユキノさんの許しの言葉を受け
 書かれていた方々への制裁宣言を取り消します。
 その旨は該当掲示板にも記載しました。
 『じょしうら』管理人」

女子一同「わあ!」


女子何人かが掲示板を確かめる


女生徒「制裁の取り消し。該当者には本人に直接DMしました。 HN:管理人…
 DMきてる!制裁解除の報告!」
女生徒「私にも来てる!」
ユキノ「良かったですね」
女子一同「ありがとう…ありがとう…ユキノさん…」
マサキ「もう泣かなくていいぞ!2度と誰にもこんなことすんなよ?」
女子一同「はい!約束します」


 女子一同は深々とお辞儀をし、お礼を言いながら帰っていった。


ムネチカ「はあ…ごめんなさいユキノさん…マサキさん…
 お二人の寛大な対応、一生忘れません。感謝します。
 自分のしたこと…本当に反省しています。ありがとうございます」
マサキ「あんたも生徒会副会長なんてのになってんだ。
 根は真面目な人だろ。
 これからは後悔しない生き方すりゃいい。俺もがんばるよ。」
ムネチカ「ふふ、だからあなたはモテるんです。自覚してください」
マサキ「へ?」
ムネチカ「クス」

ユキノ「…これで全員だったのでしょうか…」
ムネチカ「どうでしょうね…途中で抜けた方も居るんで…
 でも制裁はかなり厳正になされます。
 落書で抜けた人はその程度の制裁です。
 突き飛ばしまで居た人は…厳罰でしょうね…」
マサキ「あんたはちゃんと謝る気がある人はここに来るように言ったんだろ?
 それ以上はもう管理人しかわからねえよ…全員だったって信じようぜ」
ムネチカ「そうですね。
 でも…私たちは嫌がらせはもう行いませんが
 あなたのファン全員が『じょしうら』を使ってて
 書き込みをしていたわけじゃないでしょう。
 女の嫉妬は女に向かいます。
 今後もしっかりユキノさんを守ってくださいね?」
マサキ「え、あ、そうか…」
ムネチカ「まあ…もう誰も手は出さないと思いますけどね…
 完全な横恋慕ですから。」
マサキ「?どういう意味?」
ムネチカ「あなたたちお二人はもう立派なカップルですもん。」
ユキノ「(仮)です!」
ムネチカ「とっちゃえば?そんなの」
ユキノ「そ、それは…まだダメです!」
ムネチカ(クス、お互い自分の気持ちに気づいていないのね…)

マサキ「しかし解せねえな…」
ユキノ「?」
マサキ「管理人だよ。なんで今制裁なんだ?」
ユキノ「あなたが大声で『殺人未遂だ!』って言ったからでは?」
マサキ「『じょしうら』の規約では
 『犯罪行為を促す、または犯罪行為に該当する内容を書き込んではいけない』んだろ?
 今までのだって十分犯罪だったぜ?殺人未遂はダメで窃盗や器物損壊はOKか?」
ムネチカ「イジメの計画を話し合った場所は『架空のホラーゲーム攻略』を装ったスレッドでした。
 だから発覚が遅れたのかもしれません」
マサキ「なるほど…ホラーゲームなら物騒な文字が書かれててもおかしくねーもんな…
 『血まみれのゾンビから殺す』とか」
ムネチカ「多分特定のNGワードがあってそれを検出して内容の確認をしてるんだと思ったんで…
 ズルい手ですが…」

ユキノ「特定のNGワード…難しくないでしょうか?
 『しね』ってワードも『~だしね~』って使うし…」
ムネチカ「かなり高度な技術が必要になるかもしれませんが、文脈から判断している可能性も…
 あ、でも暗号で書かれたら分かりませんね…現に私たちも使ってましたし…
 スレッドなんていくらでも立てられるし、全部を目視でというのは無理です。
 通報機能はあるけど、過疎スレを悪意のある集団が使ったら誰も通報なんてしません」

ユキノ「管理人さんって…どんな方なんでしょうね…」
ムネチカ「この学園の生徒ではあります。」
マサキ「そうなのか!?20年以上前からあるんだろ!?」
ムネチカ「私も噂でしか知りませんが…指名制らしいです。
 管理人が卒業時、次の管理人を直接指名します。
 それが誰なのかは極秘です。
 ユキノさん、管理人に興味が?」
ユキノ「自分で言ってて思ったんです…『殺人未遂だ!』って叫んだからだったら…
 今までのものは故意にスルーされたんじゃないかって…
 だって!赤絵具の時だって結構騒ぎになりました!
 結果が事故扱いだったからでしょうか…」
ムネチカ「それを言ったら突き飛ばしも事故にできます。
 マサキさん動画撮ったならわかりますよね?」
マサキ「ああ。後ろを振り向いて床に落ちたハンカチを取ろうとかがんだケツでドン…
 事故だって言われたら事故だな…」
ムネチカ「事故を装えるようにみんな行動していました。
 私も含め…自分がかわいい人たちばかりですから…」

ユキノ「…私…管理人を探してみたい…
 だって!私が『マサキ推しスレ』で犯罪が行われてる!って通報した時点で
 本来は消されてなきゃおかしいです!」
マサキ「そ、そうだよな!
 なにもユキノがやらなくても規約違反のあるスレは消せばいいんだ!」
ムネチカ「…探し出すのは危険ですよ…?」
マサキ「なんで!?こんなの管理怠慢だろ!」
ムネチカ「この管理人はかなり頭のいい人物です。
 学校裏サイトなんて犯罪の温床みたいなところがあります。
 ですが絶対的な権力を持ったまま完全に姿を消して
 制裁方法も今までの例を見ると個人情報と共に情報操作。
 頭はいいですがその方向はかなりずる賢い方向の人物です。
 下手に探ってるのがバレると制裁同様のことをされかねません。」

ユキノ「私は風紀委員長です。
 学校裏サイトが犯罪の温床なら、それを取り締まるのは私の役目です!
 健全な…楽しい喋り場もあります…でも現に私へのイジメ計画が書かれてました!
 本当に健全なものにするように直談判したい!」
ムネチカ(ふう…本当に噂通り正義感の強い方なのね…)

ムネチカ「乗り掛かった舟ですね…私に協力できることがあったらしましょう」
ユキノ「!?ムネチカさんを巻き込む気はありません!」
ムネチカ「ふふ、私、これでも法学部に行って検事を目指してるんですよ。
 推薦入学の予定ですが、卑劣な手段で妨害するのなら、戦わなければ検事にはなれません。」
マサキ「すげえな…昨日の敵が今日の友になるってのホントにあるんだな…」
ムネチカ「ふふ、あなたたちお二人のカリスマのおかげですよ」


密かに管理人捜索探偵団が結成されたころ…



パソコンを見ながらキーボードをたたく女性の後ろ姿。


カンリニン「削除…削除…」


 プルルル


カンリニン「はい」
?「失敗してしまい申し訳ありません」
カンリニン「情けない。あんな幼稚な罠に引っかかって」
 次はうまくやってくださいね?」
?「はい!もう動いています。お任せを!」

カンリニン(ふう…昔の管理人がくだらない規約を作ったせいで
 加害者を処分せざるを得なかった…
 ユキノを始末できる良いスレだったのに…)


管理人らしき人物は後ろ姿しか見えないが、写真立てをとる。
そこにはマサキの写真が入っていた。


カンリニン(マサキ君は私のもの…邪魔者は…………『削除』…)


 とりあえずここまで!
 物語はまだまだ続きます(*'ー')
 また書き溜めたら掲載いたします(*vωv)





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