【枕草子】遠くて近きもの
【現代語訳】
遠くて近いもの。極楽。船旅。男女の仲。
【意訳】
遠くもあり、近くもあるもの。そして遠いようでいて、意外なほど近いもの。極楽浄土。船で行く旅路。男と女の仲。
【雑感】
はるかかなたにあるという極楽浄土だけれど、死は近くにある。心細く、ずいぶん遠く感じられた船の旅も、意外なほどあっという間。男女の仲は、ふとしたはずみに急激に近づく。離れたかと思えば、ふたたび重なることもある。
まさに遠くて近いもの。ミニマルな表現の中に、さりげない奥行きがあって余白の大きい、美しい文章だと思います。
このくらいあっさりした表現で、人を魅了するのってやっぱりすごい。男女の仲、なんていう締めのフレーズには、ちょっとドキっとしてしまいます。
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