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【枕草子】頃は正月(第二段)

頃は、正月・三月・四月・五月・七八九月・十一二月、すべてをりにつけつつ、一とせながらをかし。

【解釈】

12ヶ月のうちで趣があって良い感じなのは1月、3月、4月、5月。でも7、8、9月も捨てがたいな。何なら11月と12月もいい。まあどんな時もそれぞれのタイミングで、良い時というのは1年中いつでもあるよね。

「春はあけぼの」で始まる第一段が超絶有名な枕草子ですが、次の段に何が書かれているのかはそれほど知られていないように思います。
(ちなみにこの後の第三段以降には、1月、3月、4月について詳しい描写があります。)

いつがいいかな、と書き出しておきながら、まあ1年中全部いいよね、とざっくりまとめる思いきりの良さがすごいです。
2月と6月、そして10月がさらっとスルーされていて、ちょっとかわいそうだけど。むしろこの3つは何がダメだったのか、かえって気になるところでもあります。

年中ずっといいって適当やな!という気もしなくはないのですが、でもやっぱり枕草子のこういうセンスは素敵だなあ、とも思います。

清少納言の大きな魅力のひとつが、世界を迷いなく肯定的にとらえるところです。

枕草子の中には、あれはダサいとかそういう批評は出てくるけれど、恨みがましい言い回しや重く悲観的なものの見方はあまり見られないような気がします。

何かと暗くて深刻になりがちな平安貴族の価値観の中で、この軽やかさ、この明るさは救いです。陰陽で言うならば、圧倒的な陽。

こんなふうに大らかでありながら繊細に、世界を、そして人生を肯定できる人でありたいな、と思います。

清少納言が現代に生きていたら、TwitterとかInstagramでそのセンスを発揮して人気者になったりするのかしら。やっぱりnoteでエッセイかな。

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