見出し画像

【読書記録】スロウハイツの神様

辻村深月さんの小説。

辻村さんは冴木が特に好きな作家さんの一人です。
最近、読書の楽しみからやや離れていたので、久し振りに本棚から引っ張り出して読みました。

大人気ライトノベル作家、チヨダ・コーキ。
彼の書いた小説に感化された青年が起こした凄惨な事件から十年。
売り出し中の脚本家・赤羽環とクリエイターを目指す友人たち、そして縁合ったチヨダ・コーキは、皆がスロウハイツと呼ぶアパートで共同生活を送っていた。

以上ざっくりとした導入部分。
ここから様々な事件(といっても人が死ぬものでなく、どちらかというとトラブルに近いかな)が起こり、徐々に人間関係に変化が出てくるのですが、その変化での登場人物たちの感情の機微の描き方が見事。

上下巻で、ボリュームはあるけれど、文章も小難しくないし、さくさく読めます。特に下巻の怒涛の展開、伏線が明らかになるところなんて、もう、もう……!!

結構前(調べたら十六年前でした)の小説ですが、古臭くなんて全然なく、スロウハイツで暮らす人たちに、読みながら感情移入すること請け合いです。
(ちなみに画家の卵の女性に冴木はめっちゃ感情移入しました。知り合いにちょっと似てたので)

文庫版では、西尾維新さんが解説をしています。
西尾維新さんも冴木の好きな作家の一人です。何これ神か。

作家とは厄介な生き物である。
それは彼ら彼女らがどうしようもなく人間だからだ。

「スロウハイツの神様」下巻483ページ 解説

って、最後締め括っててはっとしました。
この「スロウハイツの神様」では、どうしようもなく人間の、等身大のクリエイターたちが苦楽を共にしながら切磋琢磨している。
その様は、冴木にとってはどうしようもなく尊いものに思えました。

自分自身に対して、誇りを持った「スロウハイツの神様」の登場人物たち。
そういう人間に、自分もなれるよう精進します。

最後何言ってるかわかりませんが、そんな感じで終わります。
(ネタバレは極力したくなかったので、ひたすらに自分の思ったことを書きました)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?