入院してた頃に知り合った友人と数年ぶりに会った。
駅で姿を確認した友人の第一声は「百均行っていい？」だった。

百均で買い物するのに付き合い、流れるようにサイゼリヤに入り、この数年の積もる話をする。数年ぶりに会った彼女は酒飲みになっていた。もっと早く言ってくれたら居酒屋でも入ったのに。ドリアを食べる手を止めて少し考え、「『bar moon walk』でも行くか」と提案した。お酒全部200円の店だよ、と説明した途端彼女の目が変わった。
ちなみに『bar moon walk』とは、森見登美彦の作品「夜は短し歩けよ乙女」で登場する「BAR月面歩行」のモデルになったお店である。メニュー数はとにかくたくさん、1杯200円。個人的おすすめはアンチョビベーコンポテト。

最近ハマっているソシャゲの話やら、勤務先の愚痴やらをケラケラと笑いながら楽しそうに喋る彼女の話に相づちを打ちながら酒を飲む。しかしまあ、彼女のペースの早いこと。自分が1杯飲みきるまでに3杯目を注文している。飲みすすめるうち、彼女の手が震え始めているのを確認して思わず一旦話をぶった切った。いつもこんな感じだよー、友達にも頭と肝臓ぶっ壊れてんなって言われるんだー、ずっとお酒飲んでたいよー、私そのうち酒でぶっ倒れるだろねー。
空いたグラスを下げに来たバーテンさんに「ベリー系のやつでおいしいのありますか？」と注文する彼女の声を聞きながら、ロンググラスに残る小ぶりになったかち割り氷を噛み砕いた。