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【実録】40歳バツイチ女がマッチングアプリで年下彼氏に出会うまで(8)

いらっしゃいませ!さえこです。いつもお疲れ様です。今夜もゆるりと読んでいってくださいね。

【実録】シリーズ連載8回目です☆
https://note.com/saeko_111/m/mcb342d0fb6f1

【前回までのあらすじ】
39歳バツイチのさえこは、マッチングアプリで知り合った大ウソつきのヒロくんに「実は既婚者なんだ」と告白される。
ショックを受けるも、それから数ヶ月にわたり別れることができず関係は続いていた。そんなある日、彼がマッチングアプリに登録していることが判明する。彼といるときの自分が幸せではないことにようやく気づき、別れを選択するさえこ。

そして傷心をものともせず、丸の内で開催されるお見合いパーティーに参加するのであった。

===

いいね。順調、順調。
お見合いパーティーや合コン参加に明け暮れていたのは10年以上昔のこと。だが、ブランクはあるものの「カン」は少しも鈍っていないようだ。
それどころか、若かった頃よりも包容力が増したせいか、ちっとも会話に苦労しないではないか。

やっぱりね。思った通り、歳をとるのって案外悪くないみたいだ。


「……皆さま、お疲れさまでした! 以上で全ての方とお話しいただきました。お手元の『インプレッションカード』に「またお話ししたい」と思う方の番号をお書きください」

いわゆるファーストインプレッションというやつだ。
このあと、自分を気に入ってくれている相手の番号を把握した上で、フリータイムが設けられる。
その後、男女それぞれがマッチング希望を出し、マッチング結果が発表される。

私はインプレッションカードに3人の男性の番号を書いた。


5分しか話さない段階で「この人!」と思える人に出会うことは稀だ。
仮に「いいかも」と思える人がいなかったとしても番号を書いておくに越したことはない。
金輪際会いたくない!という相手以外は全員が候補になると考えるくらいがちょうどいいと思う。


カードの集計中、スタッフの女性が席に来て、そっと私に耳打ちした。
「…すみません、お手数ですが少しこちらにお越しいただけますか」

なんだろう。クレームか? なにか粗相をしただろうか。

人目につかない柱の陰で、彼女は言った。

「さえこさん、本日、ダントツの人気です。 本当にご参加いただきありがとうございます。これから弊社のパーティーには、お名前をお伝えいただければいつでも無料でご参加いただけますので」

えっ! そういう制度があるの!?

「個別にご紹介できる方もいらっしゃいますので、何かありましたらご連絡ください」
そう言って、名刺を渡してくれた。
「ありがとうございます…!うれしいです!」

イエーイ!やったね!!

心の中で快哉を叫ぶ。これまでたくさんのお見合いパーティーに参加してきた中で、一番嬉しい出来事であった。
真面目に生きていればいいこともあるものである。

フリータイムではたくさんの男性が私の周りに集まってくれた。
やがてマッチングが発表される。私はメーカー勤務のNさんという男性とカップル成立し、二人で会場をあとにした。

セン子が珍しく手放しで褒めてくれる。
ーーやるじゃん。あんたより若そうで可愛い子がたくさんいたのに。亀の甲より年の功ってやつだね?

「まあね。こちとらダテに苦労してないし!!」


彼と近場のカフェに入った。
席につき、コーヒーが運ばれてくる。さあ改めてお話しましょう…となった、次の瞬間。

「あのっ……!」

そこに現れたのは一人の女性であった。

お、お、お前は~~っ!
開始前にめちゃくちゃ睨んできた女性、その人ではないか。

「ルールではダメなのわかってるんですけど、どうしても連絡先交換したくて…」

瞳をうるうるさせながら彼に近づく。
胸の前で両手を組んで…。

なんということだろう。
男性の前ではコロリと態度が違うっっ! くやしいけど、ちょっと可愛い、かも…?

「……あ…じゃあ…、3人で話します?」

彼は申し訳なさそうに私を見ると言う。

あ、追い払ってくれるわけじゃないのね💧 そりゃそうか。

この場合どういう対応が正解なのか、彼もよくわからないだろう。私にだって、よくわからない。
でも、急にドッと疲れがきたのは確かである。

「…あの、どうぞ連絡先交換してください。私はお先に失礼しますね」

「えっ…!あの!」
彼が、去ろうとした私を引き留めるように席から腰を浮かす。

ぺこり。
私は二人に笑顔で会釈するとその場をあとにした。彼女は最後まですごい目つきで睨んでた。


怖ぇよぉ~~なんなのあれ💧💧

彼を気に入ったっていうよりは、ただ私のことが気に入らなかっただけなのでは?
いや、ある意味、私のことを一番に気に入ってくれたのかもしれないけど…。。

その日の夜、彼から連絡があり少し電話をした。
あのあと連絡先を交換してすぐに解散したとのこと。
食事に誘われたけれど気が向かなくて「スケジュールを調べてご連絡しますね」と答えた。で、彼とはそれっきり。

せっかく無料招待権まで手に入ったのに、パーティーに再び参加することはなかった。
彼女とまた鉢合わせするのだけは、まっぴら御免だ。


セン子が高笑いしている。
ーーーあはは!なかなか無いでしょ、こんなこと!失恋一発目のお見合いパーティーで、こんなレアケースに当たるなんてさ。本当にあんたって、持ってるよねぇ!

「うるさいなーもう!!」

私はシュークリームにかぶりついた。

「いいの! 私にはお見合いパーティーよりも、マッチングアプリが合ってるんだよきっと……」

ふとスマホの画面を見ると、LINEのメッセージが届いていた。
それは意外な相手からの連絡だった。

(続く)

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