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「安心」にどうアクセスしたら良いの?(その2:物語)

Safeology研究所の山川です。

前回「安心」にどうアクセスするかで、「観察」の視点からお話ししました。今回はその続きで「物語」という視点からも「安心」にアクセスできるのでは、というお話しです。

「安心」にアクセスする方法として、いままでに、心理学の観点から「共感」、自律神経科学(生理学)の観点から「観察」という視点をお話ししました。今回は、社会学の観点から「物語」と「安心」との関係をお話ししたいと思います。

私たちは「世界はこう動いている」とか「自分はこういう人だ」という物語で外界や自分自身を眺めています。自分で持っている「人はこうあるべきだ」という物語に、時として反する行為をしてしまうと、自分自身を責めることになります。

そして、多くの場合こういった物語は、育ってくる中で、親から言われたこと、友達との会話の中で、ネットを含むメディアからの情報によって形づくられています。ある意味、その人の持つ物語の多くは外部から与えられたものといえるのでないかと思います。こうした物語が自分自身のアイデンティティを形成していると同時に、時として自分を苦しめる基準としても働くことがあります。

Safeology研究所では、外から与えられた自分や世界の物語を、自分自身が大事にしているものから、作り直すことはできないだろうか、ということを考えています。これは、哲学的な問いである「私は誰であるのか」を探究して得られるものです。これを仮に「Authentic Self」と呼ぶと、ここから自分や世界を見なおしてみると何が見えるだろうか、ということにつながっていきます。

ひとたび「Authentic Self」が把握できると、自分の周囲で起こっていることが、まったく違って見える可能性があります。そして、そのことが何が起こっても大丈夫という感覚を呼び覚まし、自分自身の行動に方向性を与えることにつながります。

社会学者のギデンスが提唱している「存在論的安心」は、心理学者のボウルビーがいっているSecure Base(安全基地)も含む広い概念ですが、その中で、自己アイデンティの確立が自己統合性への信頼を発達させることにつながり、それが「存在論的安心」につながるということを示唆しています。

Safeology研究所では「Authentic Self」の探究のための「ライフデザイン・ポートフォリオ ワークショップ」という講座を定期的に実施していますので、ご興味がある方は是非ご参加ください。

                 文/山川 修(Safeology研究所代表)

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