僕の裏詠み on リリック       Easy Go! (2018)/エレファントカシマシ】

【共感アレルギー】

「うっわぁ、、共感するとか、染みるとか、、いわれてそうーー」
「ありがち、、ありがちやなー、ドラマの為の書き下ろし感すごーい。」
「P(ぴー)みたいな人が『僕たち、これまでのエレファントカシマシのファン層だけじゃなく、この時代を支えてる全ての働き手に届けたいんですよ』とか語ってコンセプトつくるんやろなー」
とか、思いながら聴いている。

let's goだ、easy goだ、あからさまな
《みんな一緒だよ》的ニュアンスのこの曲の歌詞、なんだかなぁーーて感じだ。
みーんな当てはまるやんー。こんなん。
心の奥にある不安を抑えつつ、なんとか次の足をなんとかこうだか日々出してるやつら、 みんな、しっくりくるようなさ?

そう、邦楽ロックに歌われる代表的なモチーフに対してのアレルギー反応が少しばかり強い僕なのです。
そんなわけで本来、『歌詞』ってものに対して、しっくりくることは実は少ない。

『音、フシがあってこそ成り立ってるみたいな軟弱な『歌詞』なんて、『詩』じゃねぇよ。
『詩』として自立してる言葉の群れがあって、
『音楽』そのものの創作性が素晴らしくて、
その二つがガツーンと相まみえてこそ、優れた歌だろうがよ』とかなんとか。

「だいたい、この曲さ、メロディも構成もうますぎる。めっちゃベタなエレカシの良さをぶち込んだような、、、こんなもん、なーんかねぇ、、。え?!僕裏?!やめだやめ、こんなもんにダイヴなんてできるかよ。大人気バンドの30年以上が詰まってるみたいな超メジャー感つかったコマーシャリズムじゃねぇか。」

そして、そして、そしてだ。
そんな好き勝手を思いながらも、
今、再生ボタンをトータル何度押してしまったのだろう。
溢れる涙。
込み上げるコレは何だろうか。


【次のステージに立つという準備】

30年以上のキャリアをもつ、このバンドは2018年今、どんな想いで、こんなドギツイ一発を打ち出したのだろう。

宮本さんのキャラクターがTVのバラエティー番組でも取り上げられたり、サラリーマンへの応援歌だとかなんとか言われるほどメジャーになったこの人達だからこそ、
今、これやられたら、始末に負えない。

ロックンロールの源泉である
荒ぶる魂を攪拌させ、
ターゲット層やら、タイアップやら、、、スパイスを投げ込む。

結果、出来上がったものは、とんでもなく明るくて、飲み口の良い《劇薬》だ。

飲み込むと、
涙や、汗や、共感や、努力。
かつての10代、20代の僕が泣いて吐き気を催していた輝かしいモチーフ達が、
キラキラした輝きではなく、燻した風情をもって佇んでいる。

「僕がおっさんになったからなんかな、、」

こういうベタベタなロック、大嫌いだったわけですが、
認めたくないのだけど、認めざるを得ない世界観。

きっと、浮き沈みを味わったからこそ、奏でられる世界観。
困るよなぁ。。こういうの。
めっちゃ聴いてしまう。

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いつからか、斜に構える子になりました。
いつからか、聞こえのいい言葉の足元をみるようになりました。
それは、いつからか、僕にとっての居心地の良さを70パーセント
居心地の悪さを30パーセント提供していました。

僕は、
いろいろな人に迷惑をかけ、
いろいろな人に甘え、いろいろな人にモノを教わり、
いろいろな人を支えたいと思い、
いろいろな場所でもっと生きることを楽しみたいと思うようになりました。

そうさ、俺にゃやることがある。やねん。
そう、愛と喜びの花を咲かせたいやねん
そう、待っててくれないと困る人がいるねん。
この世界中のあらゆる輝き届けたいねん。

いつからでしょう。
僕は、斜に構えるだけじゃ足りなくなったのです。
いつからでしょう。
足元をみながらも、聞こえのいい言葉も大切にしたくなったのです。
30パーセントの居心地の悪さにつかうエネルギーを活用したくなったのです。

次のステージに立つには準備が必要らしい。
それは、時に、自分のアレルギーも踏み越えていく覚悟。
それは、時に、荒々しくも4カウントを入れる心持ち。
きっと、この曲を聴いたどのおっさんも、次のステージに立つことを意識するんだろうな。

悔しいけど、共感すら認めるしかしょうがないじゃないか。
本能がそう、言うのだから。

そう。僕もまた、
21世紀のこの荒野で。
人生のどこかの辺りを過ごす中で。
涙に滲んだ過去も未来も、自分の腕に抱きしめる覚悟をする。

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