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昼から ひとり〜ガールズパワーと空に溶けると一つ増えるものなんだ?〜

日本橋を巡るの
昼から ひとり
デイドリームビリーバー聴きながら
行くんだよ

玉出の会館を出る頃には
君は海の方へ、空と溶ける仕組
僕はいつかの濡れ雑巾を偲んで
昼から 日本橋まで ひとり

人は人の国
喜びも悲しみも虚しさも
ここで燃やし尽くして
うなだれてうなだれ疲れて
斜め上見た時
入り込む光、内から滲むような光

それも
時に思い出したり
思い出せなかったり
滲んだ視界の向こうに佇む光

燃えてしまえばおしまい
燃えなくても、そう 
離れるのなら
旅立った足元を見つめて
そばにあった足跡の縁の
盛り上がった白い砂
小さく投げつけてさようなら

人のこの世のしきたりに
人のこの世のしあわせが
規定されている人の国
嘲って笑い飛ばしてやらぁ

とまぁ、
これは西梅田発の地下鉄のホームで
一本二本と乗り過ごした、僕の言い訳

なんとかして玉出には辿り着いて
君の愛した人の国の
幸せを規定しやがるしきたりに
頭を下げて、砂を小さく3回置いてくる
どうにか行きたいところに行けますように
そして

日本橋を巡るの
昼から ひとり
デイドリームビリーバー聴きながら
行くんだよ 

玉出の会館を出る頃には
君は海の方へ、空と溶ける仕組
僕はいつかの濡れ雑巾を偲んで
昼から 日本橋まで ひとり

※※※※ ※※※※ ※※※※ ※※※※

こじんまりした玉出の会館での葬儀は
なんだかとってもちゃんとしていて
大きくはなくとも体格の良い柔道師範みたいなお坊さんの声は朗々と響いた。
ここにはもう居ないことはわかっている。
それでも、その場に対しての祭礼を粛々と。
それもこの人の国のしきたりの中で生きることなんだなぁと
都合の良い感謝をした。

葬儀後、棺桶の中、彼女は微笑む姿で少し斜め上をみて寝ている。
円背もあるし、硬直もしてたからかな。
ともかく普通に寝ている姿にどこかホッとする。

係の人が2人。
『お骨を受け取りたいというお話でしたね』
答える僕
『そうなんです。斎場の方で聞いてなんとかなるらしいことが判明しまして』

『そちらについてですが、この日付までに、 ご連絡して頂くと…』と説明しながら付箋を渡してくれる。

どうやら、その後、独自で調べてくれたらしい。

『あと、お骨をどこかお寺に入れるのが決まってるなら、戒名が必要と言われると思いますので位牌、おうちに持ち替えられるか、写真撮られた方が良いですよ』

【釋尼妙久】
これが人の国を離れた彼女の通り名らしい。
なんだかとてもいい名前つけてもらってるやん。

それもまた人の国のしきたりの中で生きることなんだなぁと都合の良い感謝を何度もした。

さて。

日本橋を巡るの
昼から ひとり
デイドリームビリーバー聴きながら
行くんだよ

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