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【小説】珀色の夢 3




 気が付くと、メリーゴーラウンドに乗っていた。
 上下する馬やドラゴンに乗る子ども。華やかな馬車に仲良く座るカップル。休日を楽しむ人々を乗せた回転台が、古ぼけた音楽に合わせて回っていた。
 紗絵を乗せた白い馬は、色の褪せた目で外を見つめている。
 その視線の先へ目を向けると、メリーゴーラウンドの出入口近くに輝くものが見えた。
 自分が回転しているので、よく見ようとしてもすぐに反対側に回ってしまう。それが何なのかわかるまでに、メリーゴーラウンドは二周回った。
 金色に輝く二つの瞳。あの男性だ。
 声を掛けようとしたが、木馬はまたも反対側へ回る。年季が入っている割に、風景を追うのが難しいほど速かった。
 止まるまで待つしかないか。でも、いなくなってたらどうしよう。
 不安に駆られた紗絵は、男性の前に回ってくる度にその姿を目で追った。
 やがて音楽がフェードアウトして、メリーゴーラウンドが徐々にスピードを緩めていく。
 男性に集中していた紗絵の目は疲れ切って、完全に止まる頃には目を回してしまっていた。
 頭に響く子どもたちの声に顔をしかめていると、紗絵の上に影が延びる。

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