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【小説】珀色の夢 6




 目を覚ますと、レンガ道の向こうに海が広がっていた。
 さっきまで夢で見ていた海とは違い、静かに水面が上下する。
 どこか異国情緒の漂う臨海公園の海だった。
 紗絵は海に面したベンチに座って眠っていたらしい。
 どうして自分がこんな所にいるのか、彼女には見当も付かなかった。
 この公園に見覚えは無いし、こんな洒落た場所に一人で来る事も無い。
 自分は確かにベッドに入って眠った。目が覚めたら自分の部屋が見えるはずである。
 ここはまだ、夢の中のようだった。

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