【小説】珀色の夢 10




「私、ですか?」
「現実を捨てて、夢の中で俺と生きて、寂しくならないかって聞いてる」

 そよ風にさらわれそうな程にか弱い問いかけが、紗絵の心で反響する。反響は新たな音になり、答えとなって彼女の口から奏でられた。

「寂しいと思います。でも、イズミさんといれば、自分は独りぼっちだっていう寂しさは無くなります」

 恐る恐るといった様子で見つめてくるイズミに、紗絵はふわりと微笑みかける。
 うかがうように向けられた金色の視線が、やがて揺らぎを止めて真っ直ぐに彼女を捉えた。

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