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みんなどうやってしのいでるんだろう。

休日明け、会社に行きたくない。

毎週月曜日の朝は憂鬱だ。

というか、平日は毎朝憂鬱だ。

社会人を11年もやっているが、この「会社に行きたくない気持ち」は一向に無くなる気配がない。


昔は「まぁ、いつかは慣れるんだろうな」と思っていたが、全然そんなことはない。

特に、休日にしっかり休めなかったときや、やっかいな仕事が待ち受けているときは、朝、トイレの中で「会社  辞める 方法」とか「若隠居 するためには」なんてワードをGoogle先生に問うてしまったりする。


会社の名誉のために言っておくと(別にそんな必要もないとは思うが)、勤め先は決して「ブラック企業」ではない(はずだ。)

優秀な人間が集まり、切磋琢磨しながら、会社としての利益と社会への貢献の最大公約数を追求している(ような気がする。)

ちゃんと「働き方改革」だって推進している(感じは出しているし)、給料だって(まぁまぁ)悪くはない。


私のごとき凡夫が、そんな環境を与えておいてもらいながら「会社なんて行きたくない!」と駄々をこねるのは愚の骨頂なのだろう。

客観的に見て、私よりしんどい労働環境にある人はごまんといるはずだ。

でも、だからこそ不思議でしょうがない。


みんなどうやってこのしんどさをしのいでいるのだろう。


日本全国にサラリーマンが何人いるのか知らないが、「会社に雇われている人」という広い括りで捉えたら、数千万の単位でいるはずだ。

それだけの人達が、あの心が押しつぶされそうになる「会社に行きたくない」気持ちをうまくやり過ごして毎日暮らしているにしては、そのノウハウに関する情報少なすぎないか?


何かの参考になればと思って、自己啓発本を読んでみたりもするけれど、よくあるアドバイスは「自分の大好きなことを仕事にすればいい」的なやつ。

いやいやいやいや。

そういうのじゃないんだ。

大学生の頃はそういうキラキラした言葉に刺激されて、前向きな努力もできたけど、今はそういうのじゃない。

むしろ、今ある「会社に行きたくない気持ち」がちょっとだけ大きくなっちゃうから。逆効果だから。


一応私だって泣き言ばっかり言っているわけではない。

OJT以外にも自己研鑽を積んで、周りに負けないようなアウトプットが出せるようになってきている。

周囲の人間から評価されることも増えてきて、ちっぽけな自己肯定感を得られるようにもなってきた。

でも、やっぱり会社には行きたくない。


だから、欲しいのは、もっと枯れた躱し方なんだ。

原因療法じゃなく、対症療法でいい。

もういい大人なので、お金を稼ぐ大変さもわかってる。

ハッピーハッピーで毎日おオマンマは食えないよ。

それはわかっているから、誰かこの押しつぶされそうな気持を一時的にでもうまくやり過ごす方法を教えてほしい。


ちなみに、最近の私の対処方法は、中原中也の『頑是ない歌』を読むこと。

葛根湯くらいには効くのでお試しあれ。


思えば遠く来たもんだ
十二の冬のあの夕べ
港の空に鳴り響いた
汽笛(きてき)の湯気(ゆげ)は今いずこ
雲の間に月はいて
それな汽笛を耳にすると
竦然(しょうぜん)として身をすくめ
月はその時(とき)空にいた
それから何年経ったことか
汽笛の湯気を茫然(ぼうぜん)と
眼で追いかなしくなっていた
あの頃の俺はいまいずこ
今では女房(にょうぼう)子供持ち
思えば遠く来たもんだ
此(こ)の先まだまだ何時(いつ)までか
生きてゆくのであろうけど
生きてゆくのであろうけど
遠く経(へ)て来た日や夜(よる)の
あんまりこんなにこいしゅては
なんだか自信が持てないよ
さりとて生きてゆく限り
結局我(が)ン張(ば)る僕の性質(さが)
と思えばなんだか我(われ)ながら
いたわしいよなものですよ
考えてみればそれはまあ
結局我ン張るのだとして
昔恋しい時もあり そして
どうにかやってはゆくのでしょう
考えてみれば簡単だ
畢竟意志(ひっきょういし)の問題だ
なんとかやるより仕方もない
やりさえすればよいのだと
思うけれどもそれもそれ
十二の冬のあの夕べ
港の空に鳴り響いた
汽笛の湯気は今いずこ





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