Mr.ノーバディ

終わってみれば近年稀に見る傑作最強おじさんだった

というわけで、主人公は地味で冴えないおじさん、うだつの上がらない日常、退屈なルーティン生活…だが実は元特殊部隊の最強おじさんで…というよくある(?)ジャンルの映画
だが、この映画は「セガールやブルースウィリス主演のアクション映画」や「イコライザー」とか「ジョンウィック」とは全く違う輝きを放っている
それはひとえに「主人公のイモクサさ(?)」にあると思う
主人公を演じる「ボブ・オデンカーク」は、身長175センチで撮影当時59歳。おじさんというかもはや初老。ルックスも同年代のトムクルーズなんかとは全然違って、マジで「その辺のおっさん」
それが逆に最高に最高だった
序盤、冴えない日常編は、元特殊部隊の最強の殺し屋とは思えないほど本当に冴えない日常…
からの、有名な「バスファイト」
これもジョンウィックなら鼻歌混じりに三十秒で制圧しそうだが、この主人公は特殊部隊感ゼロの大味な戦い方で、ボロボロになりながら血生臭い戦闘を繰り広げる
そして、それをきっかけにマフィアに狙われるわけだが、同時に主人公の隠していた「暴力性」も引き出されていく
敵が過激になるにつれて、主人公も勘が戻ってきたのかどんどん強くなっていき、終盤はもうイカれたマフィアのボスよりも主人公の方がよっぽどイカれてるんじゃ無いかってくらいに振り切っていて
「退屈な日常を過ごす冴えないおじさんが「これが本当の俺だ!」と言わんばかりに暴力性を露わにし、マフィアどもを皆殺しにする」
というラストバトルは、「日常からの脱却」「本当の自分の解放」「悪党退治という大義名分を片手に本能のまま殺戮と暴力」と、気持ち良い要素盛りだくさんで最高だった

結局、主人公は「愛する家族との平和な日常に憧れたけど、やっぱ悪党ぶっ殺す方があぶねーけどたのしーぜ!」という、これまた他の最強おじさん映画とは違う方向に落ち着くんだが(しかし家族ともなんだかんだうまくいったが)、映画なんだからそっちの方がいいさね。是非自作も制作してもっと大暴れしてほしいですわ

ちなみに主人公の娘役の子がスーパーエンジェル可愛くて、その子に悲しいことが起こらないように必死に祈っていた。無事でよかった

というわけで、他の最強おじさん映画よりずっっと冴えないルックスのおじさんが、他の最強おじさんよりもずっっっとバイオレンスで最恐で最狂なおじさん映画
評価は9/10
独創的だとか人生に残る名映画とかでは決して無いが、90分間を最高に楽しく過ごせる非常に優れた娯楽映画だった

続編を作れ!

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