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発達段階に適した育成グルーピングの重要性#4

ここまで、バレーボールにおけるLTADについて具体的に考えてきましたが、本章からは発達段階に適した育成グルーピングの重要性について考えていきたいと思います。

まず、LTADモデルではプレーヤーの発達段階の区分けをする上で、便宜上『暦年齢』が使われています(下記参照)。

VOLLEYBALL FOR LIFE:
LONG-TERM ATHLETE DEVELOPMENT FOR VOLLEYBALL IN CANADA

しかし、各々のプレーヤーをフォーカスして見てみると、身体の発達度合いには一般的にも言われているように「早熟」や「晩熟」といったように大きな個人差が出てくるということがあります。そして、その個人差の幅は低年齢であればあるほど大きいと言えるでしょう。また同学年であったとしても、4月1日生まれと3月31日生まれでは、ほぼ丸々1年の年齢差があることになります。

これらのことを考慮してみると『暦年齢』だけで、育成カテゴリーのグルーピングをしてしまうと各プレーヤーに最適な育成環境を提供することが難しくなってくることが容易に分かるでしょう。では『暦年齢』によるグルーピング以外に何かよい方法はあるのでしょうか。

『暦年齢』と『生物学的年齢』

実際のところ、他のスポーツ界では既に『暦年齢』による育成のグルーピングに限界を感じて別の概念を拠り所として、育成カテゴリーのグルーピングをしているケースがあります。

その概念とは『生物学的年齢』と呼ばれるもので、身体の成熟度がどのくらいかを診断し、割り出された年齢のことを指します。身体の成熟スピードには、当然個人差があり人種間、性別間でも、大きなギャップもが存在するという立場に立った考え方と言えます。

また、生物学的年齢を調べる手法として、まず挙げられるのが骨年齢を調べるアプローチがあります。これは、レントゲンの画像から骨の成熟度を確認し、過去の同人種・同性別のデータ集積との比較から骨年齢を割り出していくというアプローチになります。

発達段階に適した育成カテゴリーのグルーピングを考える上で重要なことは『暦年齢』と『生物学的年齢』のいずれか一方の概念だけでグルーピングしようとするのではなく、複合的な視点から慎重にグルーピングを検討していくことだと言えるでしょう。

発達段階に適した育成グルーピングの重要性#5 へ続きます。

▶︎雑賀雄太のプロフィール

バレーボールに関する記事を執筆しています。バレーボーラーにとって有益な情報を提供することをコンセプトにしています。