日本が世界で勝つために

「『世界は大型化が進んでいる』というのは本当か?!」#排球広場コラム #volleyball2 #vabotter #バレーボール https://t.co/LvVuMku5rW #rakubots
— バレーペディア編集室 (@Volleypedia) 2018年4月16日


こんなツイートがありました。

このツイートに対する私の考えは、「大型化は進んでいない。」です。
少し説明を加えると、「フェーズによって大型のチームが勝つことはあるが、フェーズによって小型のチームが勝つこともある。よって、大型化が進んでいるとは言えない。」といった感じです。

※まずは、下記の参考記事をお読みいただくことをオススメします。

参考記事:『世界は大型化が進んでいる』というのは本当か?!


上記の参考記事中に書かれている言葉を引用し、これまでの世界バレーではどのような国(チーム)が金メダルを獲得しているかを説明したいと思います。

歴史は繰り返す

① 新しい戦術が編み出された年には低身長国が金メダルを獲得する
② その戦術が世界に浸透すると再び長身国が金メダルを獲得する
③ ①と②の繰り返しが続いていく。

もう少し詳しく説明すると、新しい戦術をクリエイトしたチームが勝った後、その戦術をうまくパクって自分のチームに落とし込めた大きいチームが一時的に勝つ。そして、また新しい戦術をクリエイトしたチームが勝つようになる。
※新しい戦術をクリエイトできるチームは、長身チームでなくとも金メダルを獲得できる。

と言ったところでしょうか。

日本人にとって最も分かりやすい例が、ミュンヘンオリンピックのコンビバレーで身長・体格で劣る日本人が金メダルを獲得したというものだ。
これは「新しい戦術が編み出された年には低身長国が金メダルを獲得する」の良い例だと思う。

そしてその後、日本人男子が開発したコンビバレー(一人時間差やBクイックなど)が世界バレーのスタンダードになっていき、長身国が金メダルを獲るようになっていく。
これは「その戦術(コンビバレー)が世界に浸透すると再び長身国が金メダルを獲得する」というフェーズに移っていったと説明できる。

ミュンヘン以来、全日本男子が勝てていない原因として、

①新しい戦術をクリエイトすることができていないこと。
②体格差で絶対的に劣るにも関わらず、世界中で新しくクリエイトされる戦術(例:パイプ攻撃・リードブロック等)を後追いするに留まっていること。


が原因として考えられるのかもしれない。

日本が大型化したその先に何が見えるのか

さて、ここで改めて「大型化」という言葉に注目してみよう。

本記事トップにあるツイートの「大型化」という言葉を見て、真っ先に思い出したのは現全日本の監督、中垣内監督のインタビューである。

「2メートル以上の選手が5人もいる。これは全日本男子史上一番の高さではないか。」

この言葉から推測される彼の考えは、

「これまでの全日本は小さかった(から勝てなかった)。今回は大きい選手がたくさんいる(だから勝てる)。」

こんな意図が読み取れるのではないか。

しかし、上記の金メダル獲得チームの分析から考えてみると、体格差で絶対的不利な状況にある日本が「大型化」するという方向性には疑問が残る。

日本が歴史から学ぶその先には何が見えるのか

もしも歴史から学ぶなら

戦術をクリエイトすること。日本人にしかできない何かを生み出すこと。

一択だと思っている。

ミュンヘンオリンピック当時のコンビバレーみたいな、世界中誰もが真似できない。日本人にしかできないもの。

そんなものが必要なんだと思う。

【2018年12月29日加筆】
▶︎世界で勝つためには、他国との「違い」を生む必要性があるという考えに変化はありません。しかし、そもそも世界のトップレベルが当たり前にもっているモノ(例えば、フィジカルの強さ・プレーの創造性・試合中の状況判断能力など)を日本が身につけられていないというのが現在の状況だと考えるようになりました。世界のトップが当たり前にもっているモノ、いわゆる世界基準を満たした上で「差別化」「独自化」が必要だと考えるようになりました。そうゆう意味では男子で言うと柳田選手や石川選手を始め、多くの選手が海外リーグで海外のトッププレーヤーとしのぎを削っている状況というのは、世界で戦うために何が必要かを知るための手段として最適だと感じます。彼らが海外挑戦することで、日本人が海外でプレーすることのハードルが下がり、日本人が早い段階(高校卒業と同時くらいがベスト)で海外に挑戦するのが当たり前になっていくと日本のバレーボール界の考え方も変化していくのかもしれません。

ミュンヘンオリンピックで監督を務めた松平監督は、下記の動画の中でこんなことを語っています。

「どんなにバカみたいなことでもいいから。滑稽なことでもいいから。何か考えろ。」

ここから、Bクイックや時間差攻撃、Cクイックなどが生まれたわけですよね。

コンビネーションバレーの誕生


世界と戦う武器は何かを考える。

今、私はドイツのブンデスリーガに挑戦しようと準備しています。(下位リーグからの挑戦です。)

ドイツに来て一番に思いましたが、ドイツ人と私の体格差は努力で埋めれるものではないことは明白です。

私の身長は178センチですから日本の平均身長からすると大きいほうです。しかし、街を歩いていて私より小さいドイツ人男性はほぼいません。もっと言うなら私より大きいドイツ人女性なんてゴロゴロいます。これは数字ではわかっていましたが、こちらに来てから猛烈に実感しています。

だから自分は「何で」勝負していかなければならないのかをものすごく考えています。

全日本が勝つためにやることも、私が勝つためにやるべきことも、スケールは全くもって違いますが、

日本人にしか(私にしか)できないことをクリエイトしていくしかないと思います。そして、それは必ずあると思うのです。器用さであったり、メンタリティーであったり…

日本人だから生み出せる価値を武器にして戦う。

こんな考え方が大事だと思うのです。

バレーボールに関する記事を執筆しています。バレーボーラーにとって有益な情報を提供することをコンセプトにしています。