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勝海舟に出会える場所

「幕府の大官どもはおったまげたよ。とても金がないというお沙汰がくだった。だからおれは、いま君らにいったろう。金は海から吸い上げろ。開国してどんどん貿易し、その金でこの艦隊をつくればいい、というんだ」

「竜馬がゆく(三)」司馬遼太郎

以前、江戸東京博物館で開催された「没後150年 坂本龍馬」の展覧会では竜馬の愛刀、手紙、暗殺された場の床の間にかかっていた掛け軸など・・・があり、竜馬の魅力をより深く「知る」だけでなく竜馬を「感じる」ことができました。

明治維新において活躍した勝海舟においては、ご本人の記念館が東京の大田区にあります。単に記念館というだけでなく勝海舟が気に入った洗足池を望むように建っており、展示内容と共に勝海舟が感じられる場となっています。

この建物は勝海舟の没後、建築された清明文庫をリノベーションして再生させています。
もともとの建築に新たな機能を加算する形で生まれ変わらせています。重量感のある建築に対して鉄とガラスを主体とした建築を軽やかに結合させています。

エントランス :過去と現代の建築が共演する場となっています

構成としてホール部分が2階、書庫部分が3階と階数が違うのに加えて、保存される側がコンクリート造、新たに加えられた部分が鉄骨造となっており構造もミックスされています。

新たに鉄骨造のエリアを加えてます

一つの建物の中にエントランスの吹き抜けがあったり、コンクリートと鉄とガラスの質感の変化があったりと、空間の変化がより一層豊かになっています。

エントランス見下ろし。建築当時の外壁が残されています。

残念ながら勝海舟の別邸は焼失してしまっていますが、勝海舟の愛した風景は公園として残されており、勝海舟夫婦のお墓も記念館の北側にあります。

建築当時の床も一部ですが、保存されています
階段部分はほぼ当初のまま残されています。
1階の図面の右端に食堂があり、当初は食堂が併設される予定だったようです。
勝海舟記念館のすぐ北側に勝海舟夫妻のお墓があります

何よりも良かったのは、ここに勝海舟の別邸があったこと。勝海舟が愛した風景が残っていること。

記念館の北側には勝海舟夫婦のお墓があり、勝海舟に会いに行くことができます。展覧会では期間が限られてしまっていますが、休館日以外はいつでも会いにいけます。

<DATA>
旧清明文庫
1933年築 
設計 不明
リノベーション設計 株式会社 佐藤総合計画

参考サイト
※改修前の様子が下記のサイトに記録されています。





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