新たな価値観?イノベーター(インベーダーではない)

経産省関連で記事を書いていたが、最近セミナーや講演会、ともすると
自身の自治体の勉強会などにイノベーターの肩書をもつ教員が増えてきた。
(自己紹介で「〇〇イノベーターの・・・」と言ってくれたり、かっこいい
ロゴをプレゼン資料に貼ったりしている。)

イノベーターと聞くと、シュンペーターのイノベーション、創造的破壊、
俺がガンダムだ!うぐぐぐ・・・となる方も多いのだが、別のイノベーターである(キャズム理論がベースでしょうか。アーリーアダプターとかの)。

よく見聞きするのは「マイクロソフト認定教育イノベーター(MIEE)」と
「Google for Education 認定イノベーター」である。

創造的破壊者というよりは、GIGAスクール構想の推進に当たり、
ICTやSTEAM教育を率先して行っている人々が取得しているイメージ
である。

学校内研修にとどまらず民間の力を活用したこうした学びが増えてくる
ことはきっと喜ばしいことだと思う。ただ素直に生きられない私などは
ふとこう思うこともある。

MS、Googleに認められることが一つの価値観となりつつあるのか・・・

もちろんこれまでも資格などの自己研鑽は行われてていただろう。
ただ、たとえば自然災害の脅威を子どもにより伝えるために「防災士」
の資格を取得しても、おそらくその人個人の達成感にはなったが、
集団の価値観にはなりえなかったのではないだろうか。

そう思うと「イノベーター」という名前は「まさに妙案!」とひざを
うちたくなる。「なんだか分からないけどかっこいい」「旧態依然と
した学校教育をよりよくしようとする少数精鋭」そんな響きがある。
(勝手な私の思い込みだろうか・・・)

そして「イノベーター」は、MSやGoogleが打ち出す新たなコンテンツを
自発的に学校組織に広げてくれる(プロモーター的・・・)。

教員同士の会話で「イノベーター」になると「名刺」がもらえる!という
話を聞いた。これは悲しい・・・。前職で名刺を配りまくっていた身から
すると、名刺は必要だから作って渡すものであって、別に誰かからありが
たくもちょうだいするものでは決してないと思う。ましてやファッション
アイテムではないのだから、必要ならば自分で作って渡せばいいじゃない。

とまあ、イノベーターに否定的なことを書き連ねてしまったが、むしろ
イノベーター資格を積極的に取っている人たちは、主体的に動いている人が
多い。むしろ尊敬すべき人が多いのは事実である。

そして、その積極性や主体性が実は市場的な性格に移り変わるのは容易い
ということにも自覚的でなくてはならない。

かくいう私も職場では積極的にアプリやコンテンツのプロモーター的活動に
励んでいる。

そういえば教育市場界の大御所、ベネッセも様々なイベントを開催して
いる。

そのうち「ベネッセ認定イノベーター」なるものも生まれるのだろうか。

イノベーター的価値観は、その性質上多数になることはないと思う。ただ、
それを良しとする価値観は地下水脈のごとく学校現場に浸透してきている。

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