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とてもおもしろい経営戦略本、『良い戦略、悪い戦略』まとめ

昨年末、『ストーリーとしての競争戦略』で経営戦略本のおもしろさに目覚めたわたし。
今回はお正月読んだ『良い戦略、悪い線略』という本をご紹介します。

内容紹介(Amazonより)

「戦略の大家」が、ものすごくわかりやすい戦略の本を書きました!

■世界的な戦略の研究者による第一級の著作!
だが世の中の「戦略」のほとんどは、戦略の体を為していない。本書の目的は、「良い戦略」と「悪い戦略」の驚くべきちがいを示し、「良い戦略」を立てる手助けをすることにある。著者ルメルトは世界的な経営学の研究者を表彰するThinkers50に選ばれた人物であり、長年にわたって戦略を研究してきた第一人者。本書は超一流の著者による「経営戦略」の書だ!

さて、経営戦略というと、自分には「なんだかとてもムズカシい」ものに映っていました。
でも著者は「ずばり単刀直入なものが良い戦略なのだ」と言います。

冒頭に印象的な「良い戦略」の二例が紹介されます。
一つ目は、スティーブ・ジョブスによる、「Appleの多すぎる製品ラインナップと販売店をしぼった」戦略。
二つ目は、多国籍軍による、1991年の湾岸戦争での「包囲作戦」。

ここで大切なポイントは戦略の中身よりも、それらの戦略でみんなが「驚いた」こと。
特に後者の「包囲作戦」は教科書に出てくる定石中の定石。
にもかかわらず、メディアや名だたる軍事評論家の誰も予想ができませんでした。

だれも予想できなかったのはなぜか?
著者は言います。

教科書に出てくるような定石中の定石が実際に行われたこと、それ自体が驚きだったのである。
組織が複雑になればなるほど、あちこちの利害に配慮して、リソースを集中投下せずにまんべんなく配分する傾向がある。
だからこそ、アップルやアメリカ陸軍のような複雑な組織が一点集中の行動をとったことに、多くの人が驚いた。

著者にとって良い戦略とは「最も効果の上がるところに持てる力を集中投下することに尽きる」ものです。
ですが、組織が大きくなればなるほど、リソースを集中投下すると損をする人が出てきます(極端にいえばリストラされますから)。
そこを説得するのは大変なため、けっきょく中途半端な「悪い戦略」がはびこると著者は言います。

そのほかにも悪い戦略がはびこる原因として「戦略を目標設定やビジョンと混同している」、「具体的な行動計画がない」、「本当に重大な問題に取り組まない」などが具体的な事例とあげられており、どれも興味深いです。

戦略は「なんだかとてもムズカシイ」ものということは半分間違い、半分正解でした。

戦略自体はシンプルなもの。
でも、それをつくり、実行するのはやはりムズカシイということがよくわかる良書でした。
(今のAppleも組織が複雑になりすぎて「悪い戦略」を実行してるようにしか見えないですし...)

あと、経営戦略だけではなく世界史上の軍事作戦もふんだんに出てくるところも良いところだと思います。

とても面白いため、興味があればご一読ください!



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